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自転車記者が行く・辻野帽子店物語(上) 逸品にこだわる気概

話題 | 神奈川新聞 | 2015年11月10日(火) 03:00

3代目の紘一朗さん(右)と4代目の洋二郎さん。店内には婦人用の帽子も豊富にそろう=川崎市川崎区砂子2丁目の辻野帽子店
3代目の紘一朗さん(右)と4代目の洋二郎さん。店内には婦人用の帽子も豊富にそろう=川崎市川崎区砂子2丁目の辻野帽子店

 店構えから歴史が薫る。ドアを開く。どこか懐かしく、優しいのに、気高さを感じる。逸品をそろえた博物館のようで、心が弾む。

 「神奈川ではうちだけで、都内でも数軒。昔はどの街にもあったんですけどね」。辻野帽子店は戦後から70年続く生粋の帽子専門店だ。川崎駅東口、駅前大通り商店街にある。

 4代目の辻野洋二郎さん(41)が教えてくれる。「大正時代あたりは帽子をかぶるのが当たり前だった。勤め人はソフト帽、職人はハンチングと種類も決まっていた」。芸術家や漫画家がベレー帽なのも、似た感じなのかな。

 ソフト帽は3万円程度からと、なかなかの値段だ。「大量生産の商品が出回り、中途半端なものを置く店はつぶれていった。差別化して生き残るため、良い品だけを集めた結果」。主に欧州の職人が手掛ける極上品が、全国から「わざわざの人」を引きつけている。

 豊富な品ぞろえを可能にする鍵が、倉庫の存在だ。「つばが広いものやパナマ帽など、折れないよう箱に入れて保管するから場所を取る」。夏と冬の入れ替えやサイズ違いも含め、在庫を抱えるには店舗と同じ広さの倉庫が必要となる。

 昨今はカジュアルにハットを愛用する人が増えたが、かぶり方がめちゃくちゃだと苦笑する。「おでこで止めるのが正解。前髪を出したりちょこんと乗せたりするのは違う」。頭頂部がへこんだものは男性用で、女性用は丸いのが基本。それもあべこべになっている。

 とやかく言わないが、専門店として帽子が持つ「正統」の文化は伝えていく。その起源は、70年前の逸話にある。「うちはもともと東京の羽田で商売をやっていた。空襲を避けて疎開する際、ミシンを地中に埋めて隠し、戦後にそれを掘り返して再興したらしいです」

 3代目の紘一朗さん(71)が店番にやってきた。「あの頃は川崎も焼け野原だったよ」。続きは次回、終戦直後へタイムスリップ-。


 2年前の2013年春まで横浜を疾走していた「自転車記者」が今度は川崎を走り回ります。佐藤将人と塩山麻美が担当します。歴史ある店、面白い人、変わった人、街の不思議…。何でも結構ですので情報提供、大歓迎。連絡先を明記の上、ファクス044(211)0555まで。

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