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工期15年、総工費200億円、相模ダムを大規模改修へ 70年を迎え

話題 | 神奈川新聞 | 2017年1月8日(日) 02:00

完成から70年を迎える相模ダム(県企業庁提供)
完成から70年を迎える相模ダム(県企業庁提供)

 県民の貴重な「水がめ」として利用されている相模ダム(相模原市緑区)。1947(昭和22)年の完成から2017年でちょうど70年を迎える。水を放流するゲートなど設備の老朽化が進み、県は完成以来初の大規模改修に乗り出す。工期約15年、総工費約200億円の大工事になるとみられる。同規模の大型ダムの大規模改修は全国でも例がなく、県企業庁は「長期にわたる難工事になるが、入念かつ慎重に準備や計画を立てて実施していきたい」と話している。

 県内の水道水の約9割は、同庁が管理・運営する相模、城山(同市緑区)、三保(山北町)と、国土交通省の宮ケ瀬(同区)の4ダムで賄っている。中でも相模ダムは最も古く、水道・工業用水のほか発電などにも使う多目的ダムとしては国内初の大規模ダムという。

 東日本大震災後、ダム本体のコンクリートの耐震や強度を診断し、建設当初の強度が保たれているとの結果を得た。しかし、放流ゲート6門と、それを支える7本のピア(柱)は老朽化が進んでいる。現時点で問題はないが、今後も安定的に利用するため改修を決めた。

 今後ゲートの形状、ピアの構造などを検討し、設計などを経て、24年頃の着工を目指す。ゲートは門が垂直に開閉する現在の「ローラーゲート」から、扇形に開閉して構造がコンパクトな「ラジアルゲート」への形状変更を視野に入れている。

 同時に、水が放流される直下の川底と両岸の浸食が進んでいるため、コンクリートブロックで保護するなどの大規模な護岸工事も実施する予定だ。

 工事は、水をためた状態でダムを使いながら行う。このため、冬場の水量が少ない時期を中心にゲートを1門ずつ改修する必要がある。ダム本体に10年、下流の工事で5年の計15年程度が見込まれる。

 前例のない大規模改修となるため、国土交通省などと技術的な協議をしながら進めることになる。同庁利水課は「時期が限られる上、水があるなど制約が多い。従って期間も長くなるし、難しい工事になりそうだ」と話している。

 ダムの運営費はこれまで、水力発電の電気を電力会社に売電している電気事業者(県)と水道事業者(県と横浜、川崎、横須賀の3市)が負担してきた。改修についても関係者で費用を調整する。約200億円と概算される総工費について二見研一企業庁長は県議会で「負担は十分調整するが、主体となる電気事業で必要な内部留保資金を蓄えている。財源の面で大きな問題はない」と説明している。

 ◆相模ダム 重力式コンクリートダム。高さ58・4メートル、堤頂部の長さ196メートル、貯水量6320万立方メートル。県内の上水道水源の約17%を構成。現在、城山、宮ケ瀬の両ダムと導水路で結び、3ダム一体とした総合運用で水資源の有効活用を図っている。

 
 

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