
周りに気兼ねすることなく、生演奏を楽しみたい-。ハンディキャップのある人たちの願いに応えて、県立追浜高校(横須賀市夏島町)の吹奏楽部が31日、市総合福祉会館(同市本町)でコンサートを開く。市内の生活介護事業所と交流している縁で初めて実現。生徒たちは「多くの人に音楽の楽しさを知ってほしい」と、健常者と障害者の分け隔てなく来場を呼び掛けている。入場無料。
同校は昨春から、知的障害のある18歳以上の男女が働く「なないろ生活介護事業所 長沢ベーカリー」(同市長沢)と交流する。「職人」と呼ぶ通所者を学校に招いてパンづくりを教わったり、ボランティア委員会の生徒が新商品開発に一役買ったりと、双方向の取り組みで絆を強めてきた。
今年3月には、吹奏楽部の定期演奏会に通所者を招待した。「立ち歩いたり、突然声を出したりしないだろうか」-。そんな周囲の心配をよそに、皆が生演奏の迫力を楽しむように聞き入っていたという。
長沢ベーカリーの新倉奈津子リーダーは「経験が少ないだけで、雰囲気に慣れればもっと世界が広がる」。障害のある多くの人に聴かせてほしいと“アンコール”して、今回のコンサートの実現が決まった。
「なないろ×追高 交流コンサート『秋の音』」と題し、吹奏楽の定番やポップス、ジャズなど幅広いジャンルから計7曲を披露する予定。歌あり、ダンスありと演出にもこだわった約1時間のステージを、部員48人が繰り広げる。
当日は通所者とボランティア委員が会場設営や運営に当たる。吹奏楽部の部長で2年生の齊藤好美さん(17)は「私たちの演奏をもう一回聴きたいと言われ、うれしかった。楽器演奏だけでない音楽の素晴らしさを伝えたい」と話している。
午後2時開場で2時半開演。問い合わせは、長沢ベーカリー電話046(884)8911。