他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 話題
  4. 思い立ったらパン日和〈157〉 滋味深い全粒粉100%パン

ビオ コンプレ (横浜・たまプラーザ)
思い立ったらパン日和〈157〉 滋味深い全粒粉100%パン

話題 | 神奈川新聞 | 2015年10月25日(日) 12:00

 店名を日本語にすると「有機の全粒粉」。食材の安全性だけでなく麦の香りや豊かな風味など、本来のおいしさを追求するべく石臼で自家製粉している。

 外皮(ふすまや胚芽)も含めてひく全粒粉は、玄米同様に栄養価が高く食物繊維も豊富なのだが、一般的にはボソボソと乾いた食感のイメージが強い。ふわふわしっとり好きの日本人には敬遠されがちだ。

 「このボソボソ感やふすまから出るえぐ味を攻略すれば、穀物の甘味、全粒粉ならではの滋味を存分に楽しむことができる」と話す店主の菅野康幸さん。

 「全粒粉は水分の吸収率が高いので、水分量を多めに仕込むのがポイント」なのだが、生地がドロッとなり扱いづらくなる。製法の工夫や日々の微調整を重ねることが必要だ。また、2日近く発酵させてうま味を引き出すなど、手間ひまを惜しまずに「喉の通りがよく、食べやすい全粒粉100%のパン」を焼き上げているのだ。

 見た目は茶色で素朴。しかしながら食べると香りの豊かさ、味の濃さ、かめばかむほどわき上がってくる滋味の深さに驚かされる。

 この味を引き出してくれる酵母にもストーリーがある。岩手出身の菅野さんが震災被災地の復興を願い、できるだけ岩手の食材を取り入れたいと模索しているうちに出合った酵母という。盛岡の観光名所の一つ「石割桜」の花びらから起こしたものだ。


(手前右端から)塩パン170円、バターロール150円、ノアレザンのハーフ340円。ノアレザンの上は豆パン170円。(奥の右端から)こゆき食パンのハーフ330円、青葉区の畑で採れたかぼちゃの食パン180円、ビオバケット450円=いずれも税別
(手前右端から)塩パン170円、バターロール150円、ノアレザンのハーフ340円。ノアレザンの上は豆パン170円。(奥の右端から)こゆき食パンのハーフ330円、青葉区の畑で採れたかぼちゃの食パン180円、ビオバケット450円=いずれも税別

 ショーケースに並ぶ約30種のうち1番人気は塩パン。生地に有塩バターを巻き込んでふわっと焼き上げた。塩パンはちまたでも流行しているが、この店ではオープンした2年前からの定番だ。同じくテーブルパンのバターロールは、えぐ味の解消法としてバターと砂糖を加えて優しい味わいに。


全粒粉とレーズン、くるみで作った自家製グラノーラも大人気。1袋680円
全粒粉とレーズン、くるみで作った自家製グラノーラも大人気。1袋680円

 全粒粉パンは、バターやチーズなど乳製品との相性がいい。苦手と思っていた人もこの2種なら必ずや全粒粉ファンになること請け合い。さらなる深み、食べ応えを求めるなら、レーズンがたっぷり入ったノアレザンやカンパーニュ、フランス産の有機小麦をブレンドしたバゲットがお薦めだ。

 店で唯一の白い食パンがある。これは、岩手県産の希少小麦「こゆき」を使用したもので、トーストすると、外はカリッ、中はモチモチで小麦の香ばしさや自然の甘味が格別。「こゆき」のパンを味わえるのは日本で3軒のみだとか。

 自然の恵みを実感させてくれる自然派&健康志向のパン。かみしめるほどに「日々の食生活をさらに充実させ、より健やかに過ごしてほしい」という菅野さんの思いが胸にしみてくる。

=藤田実子(ふじた・みこ)、フードジャーナリスト
掲載=2015年10月25日、神奈川新聞


Bio Complet
Bio Complet

Bio Complet
横浜市青葉区美しが丘2-18-5
電話045(902)0888
営10:00~18:30/月・火曜休み
東急田園都市線たまプラーザ駅東改札口から徒歩6分。「たまプラーザ駅前交番東側」の信号を鷺沼方向に進み、一つ目の信号を左折し、約100メートル先左側
フェイスブックとホームページあり

 
 

思い立ったらパン日和に関するその他のニュース

話題に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング