犬の殺処分ゼロを2年連続で達成している川崎市が、動物愛護の取り組みを加速させている。小さな命を「まなぶ」「つなぐ」「まもる」-をテーマに、小学生向けの教育プログラム開発や負傷動物の救護活動強化、ペットの防災対策などを推進。県内自治体でも珍しい庁内横断型のプロジェクトを発足させ、市民への啓発にも努めていく考えだ。
市動物愛護センター(高津区)で2013、14年度に犬の殺処分ゼロを達成し、18年度中にも中原区内に新施設を整備予定の同市。老朽化に伴うハード面のリニューアルに合わせ、動物愛護の機運をさらに高めようと、市健康福祉局内に立ち上げたのが「ひと どうぶつ MIRAIプロジェクト」だ。
児童に命の大切さを伝える市独自の教材開発が、その大きな柱となる。10月に外部有識者らによる意見交換会をスタート。教育現場やボランティアの声を反映させながら年齢に応じたカリキュラムづくりを進め、来年度中にも試行的に実施したい意向だ。
また、同センターで引き取った負傷動物の治療にも力を入れる。近く市獣医師会と「動物診療に係る技術支援協定」を締結予定で、市職員が獣医師から応急処置のノウハウを学び、重傷の犬猫などを専門の動物病院に引き受けてもらう環境を整備。併せて、ボランティアの協力で子猫の哺乳を実施し、一つでも多く命を救う取り組みとする。
東京電力福島第1原発事故を教訓として、同市は8月下旬にペット同行の防災訓練を実施。今月20日に宮前区で開いた動物愛護フェアでは初の犬猫譲渡会も開き、反響を呼んだ。
市生活衛生課は「犬の殺処分ゼロは通過点。新センター整備を一つのきっかけに、永続的なテーマとして市民に命の大切さを伝えていきたい」としている。