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丹沢シカ食害後絶たず 神奈川県、管理捕獲は前年度並み

話題 | 神奈川新聞 | 2015年9月1日(火) 03:00

本年度も5月から始まった管理捕獲を告知した掲示物=厚木市七沢
本年度も5月から始まった管理捕獲を告知した掲示物=厚木市七沢

 神奈川県はこのほど、2015年度のニホンジカ管理事業実施計画を策定した。山林の植生回復や農作物の被害軽減に明確な成果は表れておらず、丹沢山地を中心とした管理捕獲の目標値は前年度とほぼ同じに設定した。

 管理捕獲は、山林で増え続けるシカによる食害を受けた植生の自然回復と、農作物被害軽減などを目的に03年度以降、計画的に毎年行われている。

 計画によると、管理捕獲の目標値は1755頭に設定。内訳は自然植生回復を図るためのものが515頭、農作物などの被害軽減が1240頭。このほか、一般の狩猟によって715頭を捕獲する。

 また、保護管理区域に準じる位置づけで、同区域の外縁部にある相模原市緑区や箱根町などの分布拡大防止区域は、生息数の増加が近年目立っているため、目標値を前年度より111頭増と大幅に引き上げて255頭にした。

 14年度の実績は、保護管理区域での管理捕獲で1322頭(目標1804頭)だった。このうち自然植生回復などは524頭(同584頭)、被害軽減が798頭(同1220頭)。狩猟が711頭(同715頭)、分布拡大防止区域の管理捕獲は110頭(同144頭)だった。

 シカの生息密度が高いが、地形が険しく一般のハンターが入りにくい中・高標高域では3人から5人に増やした専門のワイルドライフレンジャーの効率的な捕獲活動などによって目標の達成率は9割に上った。

 ただ、植生回復や農作物の被害軽減について、大きな改善は見られない。例えば、植生回復ではモデル地区の32カ所のうち、09年度と比較して14年度に林床植物の現存量が増加したのは7カ所にとどまった。

 同年度の山麓部の農作物被害は、面積が約18ヘクタールに及び、野菜を中心に約90トン、被害額は約2200万円だった。被害額を除いた数字は前年度よりはやや減少したものの、明確な減少傾向には至っていない。

 県自然環境保全課は「丹沢のシカの生息密度は一部で低下傾向も表れているが、全体的にまだ高い水準にある。自然植生への影響、農作物の被害は恒常化しているため、本年度の目標は前年度と同規模の捕獲頭数とした」と話している。

 
 

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