
ペットの飼育を、戸別訪問して支援するサービスが県内でも普及しつつある。そのニーズは、一般の高齢者らにも拡大。体力的に難しい散歩やシャンプーの代行が喜ばれる上、自宅に話し相手が来てくれる楽しさが、顧客獲得に結び付いているようだ。
起伏の多い丘陵が広がる横浜市旭区。相鉄線二俣川駅近くに今年4月、犬のシャンプーに特化した訪問型サービスが開業した。軽トラックを改造した専用車が顧客宅を訪れ、その場でシャンプーや爪のケアなどを施す。
サービスを手掛ける「アイドッグシャンプーサービスよこはま」の斎藤公志郎代表は「顧客の年代や地形の特徴に訪問型ビジネスが合う」と説明。「車がない」「高齢犬を連れ出すのが心配」といった人たちからの反響が大きいという。
出張を依頼した男性会社員(43)=同市保土ケ谷区=は、利用のきっかけを「体調を崩した71歳の母親が、ペットサロンへ連れ出すのが難しくなった。自宅でのシャンプーも一苦労で…」と明かす。飼い犬は11歳で、犬としては高齢。「(飼い主と犬の)双方にとってメリットを感じる」と話す。
犬の散歩代行サービスも人気が定着している。約220件の利用登録があるペットケアサービスLAZO(ラソ、同市金沢区)は2009年のサービス開始以来、右肩上がりで依頼が増えているという。
その半数は、2~3世代で同居する高齢者から。竹内進代表は「家族が勤めや学校に出ている日中、餌やりはできても体力面などで散歩は厳しい」と理由を分析する。
メーカーなどでつくるペットフード協会の調査では、14年の犬の飼育頭数は1034万6千頭で11年をピークに漸減。一方で、飼い始め当初は50歳前後が中心だった飼い主がペットとともに年を重ねており、高齢化に関連した需要はしばらく続くとみられる。
「業者さんと交わすペット談議が楽しい」という声も多い。店頭・出張双方でペットの手入れを12年間行っている「クープー横浜」(同区)の上野公康代表取締役は、「出張の顧客のほうがリピート率が高い」と話す。顔の見える安心感と対話の楽しさが、飼い主の満足度を高めているようだ。