1. ホーム
  2. ニュース
  3. 話題
  4. 「世界に一着」 貫く手作り匠の技 仕立て職人・阿部さん「現代の名工」-横浜で半世紀

「世界に一着」 貫く手作り匠の技 仕立て職人・阿部さん「現代の名工」-横浜で半世紀

話題 | 神奈川新聞 | 2016年12月19日(月) 02:00

現代の名工に選ばれた阿部忠悦さん=横浜市瀬谷区
現代の名工に選ばれた阿部忠悦さん=横浜市瀬谷区

現代の名工に選ばれた阿部忠悦さん=横浜市瀬谷区
現代の名工に選ばれた阿部忠悦さん=横浜市瀬谷区

 工業技術や建設などの分野で卓越した技能を有するとして国が表彰する「現代の名工」に、県内の11人を含む160人が全国から選ばれた。その中の一人、テーラーの阿部忠悦さん(79)は、横浜市瀬谷区に店を構えて53年。工業化が進むこの時代に採寸、製図、裁断、縫製と今なおすべての工程で“手作り”にこだわり続ける。「お客さんが満足する服を作りたい」。テーラーを志した時の信念は、半世紀を経てもなお揺らぐことはない。

 阿部さんは宮城県石巻市の出身。中学卒業後、移り住んだ横須賀市で会社員や自衛隊員を相手に羽振りの良いテーラーを見て「成功するかどうかは自分次第」と決意。見習いとして働きながら縫製学校に通った後に、いくつかのテーラーで働き、26歳の時に「テーラー丸忠」を開業した。

 手作りにこだわるのは、「お客さん一人一人の体形に合った服を作るため」。左右の手の長さ、肩の形、脚線の湾曲度合い…。千差万別の体形を細かく採寸して仕立てた一着は「世界でただ一つの服」だ。

 一般的なテーラーでビジネススーツ1着を仕上げるのにかかる期間は約2週間。だが「テーラー丸忠」では約3週間~1カ月かける。「ぴったりしていないと嫌だ」「窮屈なのは嫌なので、握り拳が一つ入るくらいにして」。ウエスト一つとってもオーダーはさまざま。流行や自分の考えは横に置き、まずはお客さん好みの服を作るのが「プロの務め」と考える。

 中でも乾燥すると縮み、湿気があると伸びる特性を持つウールなどの生地を扱う際は温度や湿度に気を配り、真夏にクーラーをつけずに作業することもある。「特性を踏まえて仕立てることで長持ちの度合いが変わる」と阿部さん。「絶対に狂いのこないように縫製し、決してお客さんをがっかりさせない」と力を込める。

 ビジネススーツをはじめえんび服、タキシード、モーニングなどその技術は幅広く、1963年の「全日本紳士服技術コンクール」特選優席受賞を皮切りに数々の賞を受賞。2014年には「アジア洋服業者連盟・神戸大会」フォーマル部門で最優秀大賞を受賞した。

 79歳での「現代の名工」認定に「よくこの年齢まで続けてこられたなあ」と感慨深げ。医者からは90歳まで働き続けられるとの太鼓判を押されており、「あと5年はできるかな」。20代で仕立てた礼服を70代で亡くなるまで着続けたお客さんもいたといい、「長持ちしすぎても商売としては良くないんだけどね」と笑った。

手作りに関するその他のニュース

話題に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング