鎌倉市玉縄の地域住民が29日、地元の公園で花見会を開いた。お年寄りや障害者、子育て世代といった災害時に支援が必要な人たちと、避難などをサポートするボランティアが互いのつながりを深める交流会。満開の桜の下で手作りの食事を囲み、談笑しながら「共助」の意識を共有した。
薄紅色のソメイヨシノが満開の城山児童遊園。子どもからお年寄りまで数十人が、木々を見上げたり談笑したりと思い思いに花見を楽しんでいた。
約640世帯を抱える玉縄台自治会は、昭和40年代につくられた当時の新興住宅地。高齢化が進む中、災害時の助け合いの仕組みをつくろうと、2005年に住民たちのボランティアによる支援チームを立ち上げた。「玉縄台特別救助隊」、略してTTQだ。
隊員は現在、中学生から定年退職でリタイアした男性まで65人。十数世帯で組をつくり、お年寄りや障害のある人、子どものいる家庭など支援の必要な人の情報を集め、本人や家族の同意を得て90人超の「要援護者リスト」を作成した。
しかし、日ごろの付き合いがなく互いの顔を知らなければ、災害時もスムーズな連携が難しい-。そこで考えたのが花見会。昨春は雨で中止になり、この日、初開催が実現した。手作りの甘酒や豚汁、おにぎりも振る舞われ、城山、山百合児童遊園の2会場で約200人の参加があった。
友人同士で訪れた小一原光子さん(91)と石川容子さん(78)は「これだけ多くの町内の人に会う機会は普段ない。会話もご飯も楽しめて、とってもよい気分」とうれしそうにほほ笑んでいた。
玉縄台自治会防災部長の坂本正志さん(70)は「まずは『仲良しになりましょう』が合言葉。このつながりが、災害時にもきっと生きてくる」と手応えを語っていた。