「案内板に負の歴史も刻んで」-。旧海軍の戦艦「陸奥」に搭載されていた主砲がヴェルニー公園(横須賀市汐入町)内に移設されたことを受けて、横須賀の市民団体は16日までに、来春の公開準備を進める市にそんな要請を行った。
主砲が据え付けられたのは、観光客らの目に留まりやすいJR横須賀駅前。市は貴重な歴史・観光資源として活用する考えだが、「非核市民宣言運動・ヨコスカ」と「ヨコスカ平和船団」の2団体は戦争に直結した兵器として直視すべきと指摘する。
陸奥は1943年、瀬戸内海で原因不明の爆発で沈没。市民団体関係者は「沈没で千人以上が亡くなった歴史も背負っている」とし、案内板にはそうした史実のほか、かつての軍港都市から平和産業港湾都市へと転換した市の立場も示すよう求めている。
主砲は今夏まで船の科学館(東京都品川区)で展示。横須賀の政財界などでつくる有志団体「陸奥主砲里帰りを支援する会(陸奥の会)」が寄付金を募るなどして市に働き掛け、移転を実現させた。市は周辺の見学環境を整えた上で、来年3月に記念式典を行う。