「工場夜景」の事例紹介 川崎で6市町村参加し観光産業シンポ
話題 | 神奈川新聞 | 2015年3月13日(金) 03:00

地域の特性や資源を活用した観光の在り方を考える川崎産業観光シンポジウム「地域を活(い)かす!! 新しい観光のカタチ」が11日、川崎日航ホテル(川崎市川崎区)で初開催された。県外からも5市町村が参加し、川崎市はかつて「公害のまち」の象徴とされたエリアが「工場夜景」の人気観光スポットへと変貌した過程などを紹介。パネルディスカッションも行われ、観光を核にした地域振興策のヒントを探った。
「見せるためのライトアップではなく、工場として機能するのに必要な自然な明かり。ありのままだから美しい」
公募の市民や行政、旅行業者ら約140人が出席したシンポジウム。映像と音楽で夜景ツアーを疑似体験した出席者に、川崎市は市民ナビゲーターや学生プロモーターが公害を克服した歴史を説明しながら、新たな観光スポットとして人気を集めている「工場夜景」の取り組みを紹介した。
今回のシンポは、市、川崎商工会議所、市観光協会が事務局の川崎産業観光振興協議会(会長=松本亮三・東海大学観光学部長)の主催。長野県阿智村▽茨城県つくば市▽埼玉県飯能市▽群馬県みなかみ町▽千葉県南房総市-の県外5市町村と川崎市が、それぞれの事例を発表した。
2006年度に環境省の「全国星空継続観察」で日本一になった阿智村の観光資源は「夜空の星」。12年に始めたナイトツアーで、1年目は約6500人だった観光客が、2年目は2万人を超えたことなどを報告。南房総市は、特産の「房州枇杷(びわ)を使った第3セクター主導のプロジェクトとして、1月に「全国モデル『道の駅』」に選定された「道の駅とみうら」やビワ、イチゴ狩りの取り組みなどを紹介した。
パネルディスカッションは松本会長をコーディネーターに、じゃらんリサーチセンターの沢登次彦センター長、JR東海の須田寛相談役、川崎市経済労働局の伊藤和良局長がパネリストを務めた。
沢登センター長は「対等な立場で企業を利用、活用していくべき」、須田相談役は「観光資源を磨き、ストーリーを付けて情報発信することが大切だ」などと強調。伊藤局長は工場夜景について、「観光から最も遠い石油化学コンビナート群を観光資源にしようという不思議な発想がスタート。立ち上げて10年たったが、まだまだ試行錯誤が続いている」と説明した。
【神奈川新聞】