7~10世紀ごろの武蔵国橘樹(たちばな)郡の役所跡「橘樹官衙(かんが)遺跡群」(川崎市高津区、宮前区)が10日、正式に国史跡に指定された。川崎市内初の国史跡誕生を受け、市は市役所に懸垂幕を掲げて祝賀ムードを盛り上げた。今後シンポジウムやガイドツアーなど記念事業を実施する予定で、2016年度からは史跡の保存管理計画を策定する。
橘樹官衙遺跡群は、奈良・平安時代の地方行政組織「郡」の一つである橘樹郡の役所跡「橘樹郡衙跡」(高津区千年)と、隣接する郡寺跡「影向寺(ようごうじ)遺跡」(宮前区野川)からなる。指定面積は約1万2千平方メートル。
昨年11月、国の文化審議会は同遺跡群を「7~10世紀の地方官衙の実態とその推移を知る上で重要」として、国史跡指定するよう文部科学相に答申していた。
市は16年度から2年かけ、学識経験者や市民らによる委員会を設置し、適切な保存・管理や土地の公有化の方向性、市民に公開するための整備など保存管理・整備計画をまとめる方針。保存しながらも歴史学習や観光資源としてどう活用するかなども検討する。
【神奈川新聞】