
横浜を代表する商店街の一つ、イセザキ・モール1・2st(横浜市中区)が免税店の強化に乗り出した。近年、外国人客が増加。昨年10月の免税制度改正で対象品目が消耗品にまで広がったことも背景にある。2月の訪日客数が138万7千人と単月で過去最高を記録するなど、政府が掲げる「2020年に訪日外国人旅行者2千万人」の目標に向けて追い風が吹く中、免税店の多い商店街をアピール、外国人を呼び込む考えだ。
1・2stの約130店舗のうち免税店は現在、10店舗。中には、免税制度の改正を受けて許可を取得した化粧品店や薬局もある。
「近隣でホテルの開業が相次いでいるほか、地元在住の中国人や韓国人らの口コミによってイセザキ・モールを訪れる外国人のお客さんが増えている」と伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振興組合の加藤昇一理事長。免税店は大手百貨店や家電量販店などに多いが、商店街単位でアピールしている事例は珍しいという。
既に許可を取った店の反応は上々だ。「昨秋の取得以降、免税品の売り上げ、件数とも計画比の2倍」と話すのは宝飾品販売「シマミネ」の島峯伸自社長。化粧品販売「白牡丹」の廣井晴雄代表取締役は「免税店の数が増えれば、アピール力が増す。外国人観光客がさらに増えるのでは」と期待を寄せる。
個店だけではない。全国展開するユニクロの横浜伊勢佐木モール店も今月、許可を取得した。粕谷知広店長によると、会社の方針として、外国人客の多い横浜や神戸での免税店強化を打ち出しているという。同店は横浜市内で免税店となった数店舗のうちの一つ。「商店街と一体となってPRし、街の活性化に貢献できれば」と粕谷店長は言う。
同組合では免税店となる店を支援していく方針で、23日には組合員を対象に、行政書士を招いての無料相談会を開催する。今後、免税品を梱包(こんぽう)する資材を組合で一括購入したり、店頭に掲げる統一のロゴをつくったりすることも検討するという。
加藤理事長は「アジア系のお客さんが多く、外国人対応にはある程度、慣れている店が多いのは強み。ただ、従業員教育は重要であり、接客時のマニュアルの作成なども考えていきたい」と話している。
免税店制度
外国人旅行者らの非居住者に物品を販売する際、消費税が免除される。免税店になるには、事業者の納税地を所轄する税務署の許可が必要。従来、消耗品は免税の対象外だったが、昨年10月の制度改正で、食品や飲料、薬品、化粧品なども対象となった。
【神奈川新聞】