ブーランジュリー マダ ム ルージュ (藤沢)
思い立ったらパン日和〈147〉 ワインも合う仏風の大人パン
話題 | 神奈川新聞 | 2014年12月14日(日) 12:00
パリの街角にあるようなおしゃれな外観からして期待が高まる。「パンを焼く炎や情熱をイメージする赤、そして妻の名前が茜ということもあり、『ルージュ』という店名に」と話す店主の土屋伸明さん。マダムと付けたのは、「チーズやワインにも合うような大人のパンを多くそろえているから」と続けた。
クリームパンは、カスタードクリームにほうじ茶パウダーをミックス。あんぱんは、あんに塩バターも加え、軽めに焼いて白いあんぱん仕立てにした。食事パンはもとより、菓子パンでも女心をつかむ見た目と美味(おい)しさはここならではだ。
「どうやったらもっと美味しくなるのか…。工夫を日々積み重ねて個性を追求しています」。土屋さんの言葉からパン作りへの情熱がほとばしる。対面販売の売り場と窯の距離が近いのは、お客と会話を交わし、どんな味が望まれているのかをくみ取っていきたいからという。
東京のパン店で経験を積んだ後、本場で伝統や文化を体感したいと渡仏した土屋さん。パリで半年ほど働き、腕と感性に磨きをかけた。「日本でも技術は学べますが、パンに対する考え方や、そこから派生する小さな技術というか、心遣いというか…細部に思いを巡らせることができるようになったのは本場で臨場感を体験したからだと思います」。パリのパン職人の仕事ぶりに感銘を受けた。その気持ちを忘れないため、自分の店はフランス風にしたいと思ったそうだ。
本場仕込みのバゲットは、歯切れをよくするために、いろいろ試した結果、一般的な低温長時間発酵ではなく、常温長時間発酵に。しかも1本190円という良心的価格には、日常的に食べてほしいという思いが込められている。
カンパーニュの生地にナッツやドライフルーツがたっぷり入った「フリュイ・ロワイヤル」は、スライスすると断面が宝石箱のよう。ドライイチジクとシナモンやアニスなどスパイスで作るペーストを混ぜ込んだ「ラ・ミ・デュ・ヴァン」は、風味が豊かで複雑。二つともワインやチーズとの相性が抜群で、パーティーシーズンにぴったり。
また、「ラ・ポム」というリンゴのデニッシュは、青森の友人から毎年届く紅玉をバニラとバターで煮たペーストと、ごろんと大きいカットのリンゴの二つの食感、風味が楽しめる。10月下旬から2月ごろまでの季節限定の人気者だ。そして、1年間洋酒に漬け込んだドライフルーツとナッツが醸すリッチな味わいのシュトレンは、クリスマスパーティーなどの手土産にぜひ。
文=藤田実子(ふじた・みこ)、フードジャーナリスト
掲載=2014年12月14日、神奈川新聞
Boulangerie Madame Rouge(ブーランジュリー マダ ム ルージュ)
藤沢市朝日町12-1
電話0466(86)7713
営10:00~19:00(商品がなくなり次第終了)/日曜休み、月曜不定休(※12月31日~1月4日休み)
JR藤沢駅北口から徒歩約4分。藤沢郵便局前交差点先
http://madame-rouge.net/