車いすの噺(はなし)家(か)林家かん平さん(67)=東京都府中市=が4日、学生時代を過ごした大和市内で寄席を開く。新作落語に挑む姿を追ったドキュメンタリー映画が今秋に公開され、新境地で高座に上がる。
真打ちに昇進したばかりのかん平さんは1990年、脳出血で卒倒し、右半身不随の後遺症を負った。リハビリを続けて高座に復帰したが、絶頂期の話芸は奪われた。
失意のかん平さんを激励しようと、小中高校時代の同窓生らが94年に始めたのがこの寄席だ。屋号とゆかりの地名に落語を楽しむ心意気をかけて「林間楽語会」と名付け、43回目を迎える。前回は、3月に亡くなった物まね師の4代目江戸家猫八さんが友情出演し、かん平さんと旧交を温めた。
還暦を過ぎたかん平さんは、長尺の古典を演じ切る体力に不安があり、負担の軽い新作に挑戦している。「障害なんて、へっちゃら」と笑い飛ばし、自身の後遺症をあえてネタにする。この奮闘に旧知の友人が感化され、今秋に映画になった。
同窓生の児玉勝道さん(67)は「地元では年に1度の晴れ舞台。聞き取りづらい発音もあるだろうけれど、お客さんは肩の力を抜いて楽しんでほしい」と話す。
楽語会は4日午後2時半から同4時まで、市つきみ野学習センター(同市つきみ野5丁目)で。入場無料。問い合わせは、児玉さん電話046(271)0400。