
氷川丸の一等特別室をはじめ、大正~昭和初期の客船や貨客船を彩ったステンドグラスの魅力を学ぶ講演会が19日、横浜市中区の日本郵船歴史博物館で開かれた。日本のステンドグラス史研究で知られる田辺千代さん(74)=同市西区=が写真やデザイン原画などの資料をふんだんに使い、歴史や特徴を伝えた。
田代さんは、日本のステンドグラス製作の草分け的存在である小川三知や天笠鐵五郎らの経歴を説明。太平洋戦争で失われた大型船舶や現存する氷川丸に採用された意匠を取り上げ、「職人が手で製作するものは、おのずと個性がにじみ出る。同一デザインでも全く同じ物はできず、それが(ステンドグラスの)面白さでもある」と話した。
また、自ら収集した資料とともに大型船舶の外観写真も紹介。田辺さんは「併せ見ることでステンドグラスの世界観が膨らんだのでは」と来場者に語り掛けた。
講演会は、氷川丸の国重要文化財指定を記念する同館の企画展「まるごと氷川丸展」の一環。同展では客室デザイン画やパンフレット、手記などの資料約90点を並べ、氷川丸の歴史を伝えている。12月25日まで。