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【バスストップ】東急・た63(8)元石川高校 仲間と直接話す喜び
話題 | 神奈川新聞 | 2020年8月26日(水) 18:00
「久しぶり!」「元気だった?」。3カ月ぶりに再会した二人の高3女子。マスク越(ご)しでも満面の笑みと分かる。が、体での喜び表現は接触(せっしょく)を避(さ)け、手を振(ふ)り合うまでにとどめていた。
県立元石川(もといしかわ)高校は、1984年の創立。部活や地域活動に積極的な生徒と熱意のある先生がいる、学園ドラマの舞台(ぶたい)を思わせる高校だ。休校が明けて6月から再開した授業は時間とコマ数を減らし、分散登校で行われている。毎年6月には全校を四つのグループに分けて競い合う体育祭がグラウンドで開かれ、元気な応援(おうえん)合戦が地域の風物詩だが、今年は新型コロナ対策で残念ながら中止になった。
校長室では新任の勝股(かつまた)正校長(58)が、生徒向けの便りをパソコンで打っていた。社会科教諭(きょうゆ)として約20年前に勤務した古巣へ戻(もど)ってきたが、「生徒はマスクを外した私の顔をまだ知りません」。感染予防や心の健康維持、効果的な学習法などを生徒につづる。「便りの名は通学路に咲(さ)く花にちなみ、『はなみずき通信』としました」。クラス担任をしていた頃(ころ)に学級便りを発行した経験を生かす。
3年男子で放送部副部長の柳下瑞貴(やなぎしたみずき)さん(17)は、映像クリエーターになるのが夢。在宅中は動画制作のほか、新入生の歓迎企画(かんげいきかく)を高校の仲間とオンラインで考えていた。「学校再開で、人と直接話す大切さを改めて実感しました」と語り、「何事も全力で楽しむのが『元高生(もとこうせい)』。新型コロナで制限がある中でも、やりたいことを実現できる場が、私たちにはあります」。
生徒らの新たな挑戦が始まろうとしている。
(小学校高学年向けに、難しい漢字にふりがなを振りました)
【2020年6月18日掲載】