かつて北海道の東部や北部に簡易軌道と呼ばれる鉄道があった。ぬかるむ泥炭地の開拓民の足。戦前は殖民軌道と呼ばれ、馬が引いた。総延長600キロメートルに達したという。戦後はディーゼルに変わったが、昭和40年代までにすべて廃止された。
道東で育った幼い日、簡易軌道を見た、うっすらとした記憶がある。原野の中を走るマッチ箱のような車両。別のローカル私鉄の窓から見掛けて「いつか乗ってみたい」と思ったものの、実現せぬままだった。
釧路市立博物館で企画展「釧路・根室の簡易軌道」が来年1月15日まで開かれている。北海道まではなかなか行けないが、同展に合わせて簡易軌道の自走客車(ディーゼルカー)ペーパークラフトが作られたというので早速入手した。
作ったのは釧路製作所。かつて簡易軌道の車両や橋を製造したメーカーだ。創業60周年記念事業で、博物館に提供した。私が見掛けたのとは違う地域の軌道だが、やはりマッチ箱のような小さな車両だ。今度の休みに作ってみよう。かつて乗れなかった簡易軌道を思い出しながら。▼ペーパークラフトは企画展で配布されるほか、釧路製作所に保存されている機関車・SL8722号グッズを購入すると付録としてもらえる。詳しくは同製作所ウェブサイト http://kushiro-ses.co.jp/news/20161027/1276 (a)