全国に松田町の魅力を発信する「ふるさと大使」に、横浜高校野球部前監督の渡辺元智さん(72)が就任した。自然豊かな環境で小学4年生まで育った渡辺さんは「(指導者を務めた)50年間で養ってきた知識や信念を、青少年育成のために役立てることができたら望外の喜びだ」と意気込みを語った。
狭い路地で三角ベースをした。グラブなどなく「バットを振った記憶もない」。山で切った枝や竹ざおで、ゴムボールや、芯を糸くずで固く巻いたものを打った。「それが原点」。野球だけではない。トロッコに乗ったり、アユを釣ったり…。「自然に恵まれ、遊ぶことに事欠かなかった」。今も心に残る、松田町の思い出だ。
あれから60年余り。甲子園で歴代3位タイの51勝を挙げ、全国制覇5度の偉業を成し遂げ、ふるさとに戻ってきた。引退後は講演活動で全国を飛び回っており、渡辺さんは「これで、晴れて声を大にして(全国各地で)松田町出身と伝えられる」と喜んだ。
「監督退任後、一番に青少年育成に関わる仕事に就きたいと思っていた。その本格的なスタートになる」。一時代を築いた名将は町のPRだけでなく、人を育てる極意も伝えたい考えだ。
松田町ふるさと大使にはこれまで、町出身の歌手・北川大介さん(46)と、俳優・山崎一さん(59)が就任している。任期は2年。