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ビー・グロット(茅ケ崎)
思い立ったらパン日和〈131〉 長く愛される飽きない味追求

話題 | 神奈川新聞 | 2013年7月20日(土) 12:00

 本格的な夏が到来。そこで、茅ケ崎の海へ向かう途中にある店を訪ねた。オープンして1年の「ビー・グロット」。ご主人・石井幸男さんは、逗子にあった人気店「葉山ボンジュール」(昨年閉店)で20年近く仕事をしていた。

 店内は、木の自然な風合いを生かした特注のレジカウンターや、アンティーク風の味わいがある家具など、すてきな雰囲気。壁には、地元在住のイラストレーターの絵がかかり、ギャラリーのよう。イートインスペースもあり、買ったパンやドリンク類でひと息つくことも可能。「いずれ、パン教室などをやりたいということもありますが、お客さまと気軽に話をして、情報交換などできたらいいなと思って」と、空間へのこだわりを話す石井さん。職人として工房で仕事をしているだけでは得られない、新たなヒントに出合うきっかけを多く持ちたいからだという。


手前右はアップルパイ(200円)、手前左はチョコベーグル(160円)、その奥がガーリックフォカッチャ(160円)。天然酵母のカンパーニュ(右奥、600円)は軽やかで食べやすい。サックリ揚げたカレーパン(中央奥、150円)も人気
手前右はアップルパイ(200円)、手前左はチョコベーグル(160円)、その奥がガーリックフォカッチャ(160円)。天然酵母のカンパーニュ(右奥、600円)は軽やかで食べやすい。サックリ揚げたカレーパン(中央奥、150円)も人気

 店を開く前には、千葉の名店「ツォッブ」をはじめ、いくつかの店に短期研修に入った。店作りから丁寧なパン作りまで感銘を受けたという神戸の名店「コム・シノワ」では、1年半働いて、多くを学んだという。「人脈や視野を広げることで、よりよい食材に出合える機会も増えます。また、美(お)味(い)しいパン情報などを聞いたら実際にお店へ出向き、食べてみて研究したりもします。オープン以来、余裕があまりなくて、自分の作りたいパンを中心に作ってきましたが、今後は、お客さまの声にも応えながら、この店ならではの味を確立させていきたいですね」


小ぶりながら満足度抜群のフランスパン各種
小ぶりながら満足度抜群のフランスパン各種

 店頭に並ぶ80種ほどのパン。やや小ぶりに成形されたものが多いが、生地や食材の旨(うま)み、香りがしっかり引き出され、凝縮感があるので、食べたあとの満足度が高い。特に、石井さんが「コム・シノワ」時代にほれ込んだ味をベースにしたというアップルパイは、丁寧に折り込まれたパイ生地のサクサク感、バターと砂糖でキャラメル色になるまで煮込んだリンゴがたっぷりで、優雅なティータイムを演出してくれそう。また、チョコペーストとチョコチップが練り込まれたチョコベーグルは、カカオの香りの中に、ほどよい甘みと苦みのバランスがいい。そして、たっぷりのオリーブオイルで揚げ焼きのようにするガーリックフォカッチャは、一般的には平らだが、ブリオッシュの型などを使って、童話に出てくるキノコのようなコロンとした形に焼き上げている。塩とガーリックの味付けは、海辺でビールと一緒に、というのもよさそう。

 「シンプルで、飽きない味」がモットーだそうだが、確かに、また食べたい、毎日食べたいと思わせてくれる丁寧さ、実直さが伝わってくるパンだ。

=藤田実子(ふじた・みこ)、フードジャーナリスト
掲載=2013年7月20日、神奈川新聞


ビー・グロット
ビー・グロット

B-grotto
茅ケ崎市東海岸北1-5-4、サザングランドハイツ地下1階
電話0467(81)3994
営6:30~18:00/日曜休み
JR茅ケ崎駅南口から海岸方面へ続く「雄三通り」を直進した右側。徒歩6分
イートインスペースあり

 
 

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