横須賀佐島の魚行商でアイデア料理を顧客に伝えていた福本育代さんのレシピ集の無料アプリが誕生した。検索機能や産直情報の更新通知を標準装備し、iPhone(iOS)版は音声読み上げ機能、キッチンタイマーや「お魚占い」を搭載。福本さんは今年2月に急逝したが、商いと料理を通し愛情を注ぎ続けた思いが、デジタルの世界でも伝え継がれることになった。
レシピ集は本紙での連載を機に昨春出版された「横須賀佐島 魚行商のおかみさんレシピ」。佐島で水揚げされた魚介類を素材に130以上のレシピを掲載している。
魚の身をピザ生地の代わりに使う「タチウオのピザ風」、おかずにもおやつにもなる「アジのワンタン皮包み揚げ」といった独創的な料理から、レンジだけで作れる「カタクチイワシのアンチョビー風」や「アジの骨せんべい」といった手軽さを追求したメニューなどを紹介。まろやかさを出すため「しめサバ」に砂糖を使用するノウハウなど、「目からウロコ」のアイデアも満載だ。
アプリでは季節ごとにレシピを分類、魚種や調理名から検索する機能を備えた。県内各地の産直情報の更新通知が毎週1回届く。
iPhone(iOS)版には、音声読み上げの機能や調理の所要時間に対応するキッチンタイマーを搭載。さらに、タイマーの残り時間がゼロになると魚のイラストが登場する「お魚占い」も付いている。
レシピに加え、関東学院大学の菅洋子准教授による栄養学上の解説、福本さんの思いやレシピへの反響を紹介する本紙記事も掲載している。
福本さん一家は佐島に1軒だけ残る魚の行商。夫の忠さんと一般家庭を回って新鮮な魚介類を届けながら、一工夫でおいしくなるノウハウやアイデアを口頭で伝授していた。自身が心臓の大手術を受けた際、「血管や血液がきれいだったため命拾いをした」と言われたため、魚を食べて健康になってほしいという願いを込めていた。
昨春の出版を受け、テレビの情報番組で特集が組まれたり、スーパーの販促キャンペーンでレシピが活用されるなど大きな反響を呼んだが、福本さんは今年2月、小脳出血により74歳で急逝した。
アプリに関する問い合わせは、神奈川新聞社デジタルビジネス局電話045(640)0125(平日の午前10時から午後6時まで)。