お年寄りや障害者に気軽にネイルを楽しんでもらおうと、活動する女性がいる。横浜市青葉区の島田薫さん(52)は母親(83)の要介護認定を機に福祉ネイリストの資格を取得。同区内の高齢者施設を定期的に訪ね、認知症を患う入所者らのネイルをケアし、笑顔を届けている。
貿易会社などに勤めていた島田さんが福祉ネイルに関心を持ったのは3年前。母親が転倒の際の骨折で要介護認定を受けたのがきっかけだった。母親や周りのお年寄りにネイルケアをしたところ大変喜ばれたため、資格を取ろうと一念発起。大阪に出向いて20時間以上の講習を受け、今年5月に資格を手にした。
福祉ネイリストは日本保健福祉ネイリスト協会(東京都渋谷区)が認定する民間資格。吉備国際大学の佐藤三矢准教授の研究によると、施設に入所する認知症の女性を、2週間に1回の頻度で爪にマニキュアを塗るグループと塗らないグループに分けて比較したところ、塗ったグループには集団体操への参加意欲などに改善傾向が見られた。
島田さんは「話しかけながらケアを施すなどコミュニケーションを取っている。脳に刺激が与えられるようで、怒りっぽかった人が穏やかになったり、施設に家族があまり訪れない入所者から『帰らないで』と声を掛けられたりすることもあった」と話す。ネイルは化粧と異なり、1度塗ると水仕事をしなければ2週間は楽しめるといい、常に目に入ることで喜んでもらえるのも特徴という。これまで数十人のお年寄りをケアしてきた。
また、施設には複数のネイリストで訪問して華やかな雰囲気を演出するほか、エプロンや大きな名札を着用し、衣服の色も黒を避けるなど細やかな配慮を心掛けている。
お年寄りに喜んでもらえるのが自身のモチベーションにつながっていると島田さん。「高齢者施設にも中国や韓国の出身者が増えてきた。認知症が進むと母語しか話せなくなることも多いようで、語学も勉強して異文化交流をしていきたい」と意欲を見せている。
問い合わせは、島田さん(elua222@hotmail.com)