秦野市全域の史跡や古道、近代建築物などの名所を幅広い世代に紹介し、街歩きをより楽しんでもらおうと、市民グループ「まほら秦野みちしるべの会」がウオーキングマップを完成させた。第1弾は市内中心部の本町地区を巡るコースで、会では「明治期以降の秦野を歩くコースにした。近代の歴史を知ってほしい」と活用を呼び掛けている。
同会は2007年に発足し、40~80代の男女21人で構成。元公立中学校校長の武勝美さん(82)が主宰し、市内の史跡や道祖神を巡って活動している。今年5月下旬から打ち合わせを始め、会員が街を歩いて住民への聞き取りや写真撮影などを進めた。
本町地区のコースは、旧曽屋村を巡る約5キロで、観光客が歩きやすいよう小田急線秦野駅を発着点にした。1898(明治31)年に木橋として架けられたと伝わる秦野橋、同市栄町の上宿(かみじゅく)観音堂、同市本町に位置する国登録有形文化財(建造物)の五十嵐商店など10カ所を掲載。各地点の歴史や地名の由来、文化財情報も解説付きで紹介している。
同会事務局の田中嘉津明さん(77)は「秦野を初めて訪れる人や歴史に興味がある人も歩きやすいよう、目印と知識をこの地図に盛り込んだ」と振り返る。
他に市内から大山に登る「大山道」、明治期から昭和初期にかけて秦野と二宮間を結んだ軽便鉄道のルート「軽便みち」、市立本町小学校と市役所の間を通って乳牛(ちゅうし)通りに抜ける「醍醐(だいご)道」など、当時の歴史を感じながら歩く5コースも掲載した。
会長の横山信子(みちこ)さん(64)は「秦野の歴史に触れ、秦野を好きになってほしい。名所や伝承行事の意味を次世代に伝えるきっかけにしたい」と期待を込める。武さんは「地図を手にした人が市内を歩いて良さを知り、秦野を第二のふるさとにしてほしい」と話している。
A4判カラーの折り畳みで、300部を作製した。1部50円。同会は今後、東地区や北地区など市内全域を網羅する12の地区と地域のマップ作製を予定している。購入・問い合わせは、田中さん電話0463(83)3815。