小中高校生が家族や友人と新聞記事を読み、感想や意見をつづる第9回「いっしょに読もう!新聞コンクール」神奈川県審査の表彰式が17日、横浜市中区の日本新聞博物館で開かれた。社会への関心を広げ、対話を通して「深い学び」を実践した受賞者に賞状が手渡された。
日本新聞協会主催のコンクールに寄せられた県内在住・在学の児童生徒の作品を、県NIE推進協議会が独自に審査した。赤池幹会長は「学び覚えたことと生活とのつながりを考える、社会に開かれた教育が必要とされている。コンクールは時代の先駆けになっている」とあいさつした。
小中高校の各部門で最優秀賞を受賞した3人は、それぞれ喜びを語った。平塚市立花水小6年の出縄美央さんは、人工知能(AI)で「空飛ぶ車」の実現を目指す動きを報じた記事を選んだ。感想文で「AIは知識はあるけど知恵はないと思う」と自らの考えを深めたことが評価され、受賞を「うれしかったです」と素直に表現した。
自修館中等教育学校3年の山本梨菜さんは、バングラデシュで起きたイスラム過激派のテロに関する記事を選んだ。イスラム文化に対する偏見に触れ、「私が考えたことや隣の席の子が教えてくれたことなど、たくさんのことを学ぶことができた」と話した。
医療に関わる仕事を志望する県立伊志田高3年の白石萌実さんは、新型出生前診断の記事を取り上げた。「医療のニュースに興味を持ち、自分の考えを持つことは今後、役に立つと思う」と述べた。
審査委員長の重松克也・横浜国大教授は「うまく書けたかより、世の中の出来事への思いがけない意見を受け止め、深く考えているかについて評価した。人間性を育てる土台づくりになっている」と講評した。
表彰式はNIE公開セミナーの一環で開催。新聞記事を活用した「防災・減災」ワークショップや、県総合防災センターの杉原英和所長による講演「神奈川県の自然災害」も行われた。