聖マリアンナ医科大学病院(川崎市宮前区)で「勤務犬」として入院患者を癒やしてきた黒いスタンダードプードルのミカ(8歳・雄)が、12月で引退することになった。後継にはおいに当たる白い同種のモリス(3歳・雄)が就く。共同事業パートナーとして同病院にミカを貸与してきた日本介助犬協会(横浜市港北区)は新旧交代を記念し、闘病中の子どもらにミカやモリスの縫いぐるみを贈呈する企画を立て、ネット上で寄付を募っている。
ミカは2010年3月生まれ。動物介在療法の担い手となる訓練を同協会で受けた後、15年4月から総合病院で初の勤務犬として入職し活躍してきた。高齢の患者にリハビリ意欲を与え、産婦人科病棟ではアイドル犬となり、小児科病棟では手術を怖がる子どもたちのため手術室で麻酔がかかるまで寄り添った。
頼もしい後継者が見つかったこともあり、9歳になる来年を前に“若手”に後を託すことになったミカ。バトンを受け継ぐモリスは9月から毎週月・金曜に、同病院でハンドラー(調教師)となる看護師2人と訓練を積んでいる。同協会訓練部主任の桑原亜矢子さん(42)は「モリスは予想以上に適性がある。どこでもリラックスでき、それが良い形で患者さんに伝わる」と高く評価。早ければ来年1月にも着任するという。
ミカのハンドラーを約4年務めた小児外科の長江秀樹医師(44)は「ミカの寄り添いは医療・看護の原点。医療界に残した足跡はとても大きい」とねぎらい、後継のモリスに「なでられ好きで、ミカ以上にずぶとい性格。後継ハンドラーにも安心して任せられる」と期待を寄せる。
同協会は皆に愛されたミカの雄姿をいつまでも心に留めてほしいと、闘病中の子どもらにミカの縫いぐるみを贈呈する計画を立案。11月からネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用して寄付を呼び掛けたところ、3日間で目標金額の80万円に到達した。
現在は引き続き、来年以降に入院する子どもらにモリスの縫いぐるみを贈呈するための寄付をCFで募っている。同協会は「次のゴールに向け、引き続き皆さんの温かい支援をお願いしたい」と呼び掛けている。
寄付の詳細は専用サイトで確認できる。問い合わせは、同協会電話045(476)9005。