
子育て世代が定着する都市を目指して「小田原の今と未来」を考えるシンポジウムが6日、小田原駅前の市民交流センターUMECOで開かれた。都内などに遠距離通勤する母親ら60人でつくる「小田原通勤ネットワーク」(加茂圭子代表)と立正大学の共催で、約100人が参加。仕事と子育てが両立でき、人口流出に歯止めをかける育児環境の在り方を探った。
同ネットワークによると、小田原市の流出人口は県内2位で、中でも0~4歳児を抱える子育て世代の転出が多いという。シンポでは提案発表とパネルディスカッションで、保育制度の現状などを話し合った。
立正大の学生約10人は、保育所の利用判定基準などを調べ、市内の子育て世代にヒアリングして「疑似保活」した結果を発表。インターネット情報の不足や、祖父母が市内在住の場合に入園が不利になる点などを問題提起した。
パネルディスカッションでは、駅前第二区自治会の栗田康宏会長が「マンションが増えて自治会の会員も増えたが、子どもの遊び場もない」と指摘、スーパー2店が閉店するなど駅前でも“買い物難民”が生じている現状を説明した。
一方、国の制度を利用した保育事業を駅前で2年後にスタートさせる宅地建物取引業協会の藤井香大小田原副支部長は、「もっと市の後押しがあるとうれしい。受益と負担の関係も重要だと思う」と話した。
ネットワークのメンバーで、2人の子どもを育てる谷まゆみさんは「上の子が小学生になり、学童保育では時間も短い。病気になったらどうなるか。学童にも病児預かりがあると助かる。冬に向かって今からとても心配」と訴えた。