横浜市旭区の若葉台団地内を走るコミュニティーバスの運行情報を、住民に「見える化」する実証実験が今月、始まる。利用するお年寄りらのため、団地内に設置するディスプレーなどにバスの現在位置などを表示。路線バスや地域イベントの情報を加えることも検討する。利便性を高め、コミュニティーの活性化や持続可能な団地の実現を目指す。
同団地は県住宅供給公社が開発。6302戸に3月末現在、1万4241人が暮らす。入居開始から約40年がたち、住民の減少や高齢化といった課題に直面している。
実験では団地の商店街内にある多世代交流拠点「ひまわり」に、ディスプレーを設置。路線バスを補完する無料のコミュニティーバス「わかば号」(4系統1日6便)の運行ルートや現在位置をリアルタイムで表示する。同様の情報を、スマートフォンやパソコンからも見られるようにする。
将来的には、団地と最寄りのJR十日市場駅などを結ぶバス事業者3社の運行情報も一元化。避難場所や歩行者専用通路、バリアフリールートといった地図情報、商店街イベントや自治会活動などの地域情報も提供したい考えだ。利用状況を踏まえ、本格導入を検討する。
同区と同公社、住宅の管理・運営を手掛ける若葉台まちづくりセンターの3者は4月、持続可能なまちを目指して協定を締結。今月7日には横浜国立大学都市イノベーション研究院、同大学COIサテライトが加わり、地域のモビリティー(移動可能性)に関する協定を2021年3月末までの期間で結んだ。実証実験は、この5者での協定に基づいて実施される。
同区は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けたまちづくりに力を入れている。区政推進課は「街の魅力を高め、持続可能な団地を目指すとともに、区内の他の大規模団地での課題解決にもつながるか検証したい」と話している。