リトアニアのサウリウス・スクバルネリス首相は10日、同国が東京五輪・パラリンピックの事前キャンプ地にしている平塚市と、鎌倉市を訪れた。同国の代表選手団と市民との交流イベントに参加したほか、外交官・杉原千畝の墓に献花した。スクバルネリス首相は「日本はアジアで一番大事なパートナー。政府や自治体レベルで話し合いができてうれしい」と喜び、友好関係の強化に期待をにじませた。
代表選手団は2日から15日まで、平塚市内でテストキャンプを行っている。Shonan BMWスタジアム平塚(同市大原)で開かれた交流イベントで、小学生ら約550人に迎えられたスクバルネリス首相は「スポーツは人々に感動を与える。五輪・パラリンピックが互いを理解し合うきっかけになれば」と期待。「日本からの投資はまだ少ない。経済的な交流もより深め、日本からもっと観光に来てほしい」と注文もした。
落合克宏市長は「リトアニアと平塚との末永い交流を願う」とあいさつ。黒岩祐治知事も「五輪・パラリンピックでは、日本の次にリトアニアを応援しよう」と呼び掛けた。
「命のビザ」杉原千畝の墓参りも
イベントの前には、第2次世界大戦中にリトアニアで「命のビザ」を発給して多くのユダヤ難民を救った杉原が眠る鎌倉霊園(鎌倉市十二所)を訪問。地元関係者らとともに墓前に花束を手向けた。
以前から墓参りを希望していたというスクバルネリス首相は「杉原さんはリトアニアと日本の大事な絆で、平和、自由、人道の象徴。彼のおかげで日本とリトアニアの交流は進んでいる」と感謝した。
スクバルネリス首相は9日、事前キャンプ地の視察も兼ねて初来日。日本との経済協力を深める狙いもあり、初日には河野太郎外相と都内で会談し、2国間の交流促進に向けた議論を交わした。