
2019年3月末に、生徒の減少による統合で72年の歴史に幕を下ろす松田町立寄(やどりき)中学校(同町寄)で最後の文化祭が開かれた。在校生は3年の女子生徒5人。この日のために放課後は連日、合唱や演劇、バンド演奏などの練習と準備に取り組んできた。教職員と一緒に一生懸命創り上げたステージ発表に、大勢の地域住民や卒業生らが盛大な拍手を送った。
「Period.~最後の輝きを~」をテーマに、23日に開かれた文化活動発表会は、吹奏楽部員の3人がギターやベース、キーボードを、教員がドラムなどを担当したバンド演奏でスタート。全教職員13人による朗読劇、生徒と教員合同の混声合唱などが披露された。
同校卒業生で世界的に活躍するハーモニカ奏者・清野美土さんらによるブルース演奏も行われ、清野さんは「中3のときに先生に楽器をやろうと言われてハーモニカを始めた」とのエピソードを紹介。自身の視野を広げた海外での経験などを踏まえ、来春卒業する5人に「いろんな景色を見に行ってほしい」とエールを送った。
プログラムの最後は、「夢」をテーマにした在校生と3年の教員による演劇。台本は生徒によるオリジナルで、冒険を通して「誰かの役に立ちたい」など将来の夢を見つけるストーリーを熱く演じた。
「相手を気遣うことができる子どもたち」と評価する在校生5人との舞台で、悪役を演じた担任の長谷川美和教諭は「生徒たちは努力してきたものを出し切ったと思う。最後に一緒にできてうれしかった」と話した。
会場の体育館には、開校以来の歴史を振り返ることができる写真も展示。1966年度卒業の松本勇三さん(66)は自身の写った集合写真を見つけ、「母校がなくなるのはちょっと寂しいね。当時は2クラスで56人いて、今もみんな仲がいい」と懐かしんでいた。
実行委員長を務めた生徒(14)は「たくさんの人が来てくれてうれしい。合唱も先生の演劇もすごくよかったし、練習した成果を出せて楽しかった」と笑顔だった。