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「松みどり純米吟醸 S.tokyo」
松田・中沢酒造が新酒開発 100年以上前に発見の酵母から

話題 | 神奈川新聞 | 2018年9月29日(土) 02:00

新酒を手にする中沢酒造社長の鍵和田茂さん(右)と専務の亮さん=小田原市荻窪
新酒を手にする中沢酒造社長の鍵和田茂さん(右)と専務の亮さん=小田原市荻窪

 老舗蔵元として知られる松田町松田惣領の中沢酒造(鍵和田茂社長)が、109年前に発見された「幻の酵母」を使った新酒「松みどり純米吟醸 S.tokyo(エス・トーキョー)」を開発した。上品な甘口で爽やかな酸味があり、アルコール度数は抑えめ。ワインのような口当たりが特長だ。10月1日から限定販売するが、欧州への輸出も視野に入れている。

 開発したのは、1825年(文政8年)創業の同酒造の専務で、杜氏(とうじ)でもある11代目の鍵和田亮さん(32)。2年前から新商品の開発のため、母校の東京農業大の醸造微生物学研究室に在籍する恩師に協力を依頼し、同大菌株保存室に保管されていた研究用の酵母を提供してもらった。

 この酵母こそ、亮さんが「幻の酵母」と呼ぶもの。東京帝大出身の農学博士、故中沢亮治氏(1878~1974年)が1909年にドイツで酒母から分離した清酒酵母だ。国内に現存するものの中では2番目に古いという。

 米を発酵させる清酒酵母は酒造りには欠かせず、味を左右する。ただ、これまで清酒製造には使われたことがなかったことから、どのような発酵経過を取るか分からず、開発の道は試行錯誤の連続。通常より温度を上げることで元気よく発酵する性格をつかみ、完成にこぎ着けた。

 「甘みと酸味のある好きな味に仕上がった」と満足そうな亮さん。父で社長の茂さん(59)も「香りが強くないため、食中酒になりそう」と太鼓判を押す。商品名は菌名の「Saccharomyces(サッカロマイセス) tokyo NAKAZAWA」の略称「S.tokyo」から取った。

 菌株番号が「0024番」であったことに、「中沢酒造の電話番号の下4桁と同じ。しかも中沢先生の名字や名前の一部が酒造名や私の名前と同一であることに、大きな縁を感じる」と話す亮さん。「神奈川の地酒を国内外にアピールしていきたい」と意気込んでいる。

 販売は「日本酒の日」の10月1日から2千本限定。720ミリリットル瓶で2020円(税込み)。小田原市内の酒販店ほか、通信販売も。問い合わせは同酒造電話0465(82)0024。

 
 

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