
相模ダム建設時に命を落とした労働者を悼む「相模湖・ダム建設殉職者合同追悼会」が29日、湖畔の県立相模湖交流センター(相模原市緑区)で行われた。参加者は県民の水がめとなっている相模ダム建設の歴史を振り返り、中国・朝鮮半島出身者を含む殉職者の冥福を祈った。
相模ダムの建設は軍需工場への電力供給が主な目的で1940年に始まり、終戦後の47年に完成した。建設には日本全国から集められた人のほか、中国人兵士の捕虜や朝鮮半島から強制連行された人など、延べ360万人が従事。劣悪な労働環境から80人以上が亡くなったという。
追悼会は79年に始まり、今年で40回目。主催者を代表し、塚田滋実行委員長が「追悼会を通じ、二度と争いのない平和な世界をつくる礎としたい」とあいさつ。ダム建設前の地域を知る高柳佐和子さん(81)=東京都港区=が戦争中の経験やダム建設について語り、参加者全員で献花した。
歴史を語り継ぐため、毎年地域の小中学生も参加している。市立北相中学校の生徒が「相模湖讃歌(さんか)」を朗読し、市立桂北小学校の児童が地元の風景の映像をスクリーンに映して合唱した。また、神奈川朝鮮中高級学校中級部舞踊部が舞踊を披露した。
同センター2階の市立相模湖記念館では8月3日まで、ダム建設に関する資料などを展示している。入場無料。