紳士服大手のAOKI(横浜市都筑区)は、顧客の体形や好みに合わせて仕立てる「オーダースーツ」事業に力を入れる方針を26日、明らかにした。タブレット端末を使い、簡易かつ具体的に着用イメージを提案できる手法を構築。ビジネススタイルの多様化で、スーツ市場が収縮傾向にある中、主に20~30代のビジネスマンをターゲットに、新たな需要開拓を進める。
同日、AOKI銀座本店(東京都中央区)で開かれた新戦略発表会。AOKIホールディングスの青木彰宏社長は「自分だけの一着を仕立てるオーダースーツ市場は拡大を続けている。創業から58年間、追求してきた仕立てへのこだわりを最大限生かし、珠玉の一着をご提供する」と述べた。
同社によると、2015年度のオーダースーツ販売着数は前年度に比べ1・6倍に伸長。ニーズを踏まえ、10月上旬に銀座本店や横浜港北総本店(横浜市都筑区)などで先行導入したタブレット端末利用の新発注システムを、11月8日から全国に約570ある全店舗で運用する。
あらゆる体形や好みに応えるため、ブランドやサイズは350以上のパターンを用意。着用シーンや好みを店員と相談しながら、タブレット端末でスーツのスタイルや生地、色、柄はもとより、ボタンや裏地に至るまで選択し、仕上がりのイメージを即座に確認できるのが特長だ。採寸は見本を試着して行い、一度注文すれば、サイズなどが登録されるため、2回目以降はよりスムーズに注文が可能という。
価格は4万9千円(税抜き)から。専用の国内工場で縫製し、最短2週間で仕立てられるという。同社は「パターンの多さと全店舗で展開できる強みを生かしたい」としている。