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横須賀に眠る運慶仏5体「国宝に」 住民らが魅力発信

話題 | 神奈川新聞 | 2018年7月15日(日) 10:27

浄楽寺の仏像を紹介する看板の前に立つ宇内さん=横須賀市芦名
浄楽寺の仏像を紹介する看板の前に立つ宇内さん=横須賀市芦名

 横須賀市の寺院に普段はひっそりと眠る5体の仏像。鎌倉時代を代表する仏師・運慶作とあって、この価値を伝えようという動きが地域で広がっている。有志が参道を整備したり、観光客にPRする看板を作製したりして魅力を発信。地元でも長年見過ごされてきた傑作の価値を再認識し、住民たちは「いずれは国宝に」と願っている。

 まなざし強く前を見つめる阿弥陀(あみだ)如来に鎌倉武士を思わせる毘沙門天、力強さをみなぎらせる不動明王-。浄楽寺(同市芦名)の収蔵庫に安置されているのは、国の重要文化財に指定されている木造5体の運慶仏だ。「戦火を逃れ、奇跡のように現代まで残った。地域全体が守ってきた宝です」。大楠観光協会の宇内正城会長(61)はこう胸を張る。

 運慶(生年不詳、1223年没)は鎌倉彫刻を代表する仏師で、優れた写実性と力強い作風が特徴。現存するのは全国で31体と推定されており、このうち奈良・東大寺南大門の金剛力士像など18体が国宝に指定されている。

 鎌倉幕府の有力御家人で三浦一族の和田義盛が建立したと伝えられる浄楽寺。鎌倉に近い横須賀に残る5体は、京都・奈良を拠点にした運慶と東国武士の結びつきを示すものとして、学術的に注目されてきた。ただ、限られた日しか開帳されていないこともあり、「大切に守られてきたが故に、地域で必ずしもその価値が十分に理解されてこなかった」(宇内さん)。

 2016年に宇内さんが観光協会の会長に就任すると、学芸員を招いた勉強会を開催する。今年3月には、連合町内会などでつくる地域運営協議会と協力し、交通量の多い国道134号沿いに縦90センチ、横2・7メートルの看板2枚を設置。「運慶の仏像をお守りしよう」と観光客に訴えている。また、宇内さんが社長を務める建設会社も、境内にある老朽化した約30メートルの参道を無償で改修し、今春までに手すりと滑り止めの舗装を完成させた。

 追い風となる出来事もあった。昨秋に東京国立博物館で開催された運慶展に浄楽寺の5体が出展され、「国宝に匹敵する」と全国のファンの脚光を浴びた。宇内さんは「鎌倉幕府が開かれた地でありながら、神奈川に木造仏の国宝が一体もないのは残念。浄楽寺の運慶仏が国宝に指定されれば、三浦一族が残した文化財全体に光が当たるきっかけにもなる」と期待を寄せている。

    ◇

 開帳日は3月3日と10月19日の年2回。問い合わせは、浄楽寺電話046(856)8622。


昨年開かれた「運慶展」で展示された浄楽寺の「毘沙門天立像」=東京・上野の東京国立博物館
昨年開かれた「運慶展」で展示された浄楽寺の「毘沙門天立像」=東京・上野の東京国立博物館

十分か? 「重文」の発信
政界にも広まる危機感


 重要文化財の価値が十分に伝わっていないという危機感は、政界にも広まる。6月には自民党国会議員が議員連盟を設立。訪日外国人客を念頭に、改称を目指す動きも出てきた。

 「あなたの街にも国宝を議連」(会長・馳浩衆院議員)が6月に国会内で開いた設立総会には、有志約30人が出席。議連では、英訳すると「Important Cultural Properties」となる重文は、法で定めた文化財と理解されにくいと問題提起した。国際的に発信できる名称への変更を検討する。

 ただ、総会では出席議員から「改称だけでなく、価値を発信するストーリー作りを各地域に促す仕組みが必要」「維持管理費を充実させるべき」などの意見が出た。議連では今後、議員立法による文化財保護法の改正を視野に、勉強会を重ねていく予定だ。

国宝と重要文化財(重文) 日本に古くからある絵や建物などの文化的な財産の中で、重要なものが「重要文化財」に指定され、その中で特に価値の高いものが「国宝」に選ばれる。文化庁によると、6月現在の国宝指定件数は全国で1110件(美術工芸品885件、建造物225件)。重文の指定件数は1万3166件に上る。

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