「♪テアライウガイ」と連呼しながら歌い踊る曲が人気だ。鹿児島・奄美大島出身の4人組蛇三線ロックバンド「ティダ」が手掛け、子どもたちの意識の喚起に大きな効果を発揮。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として手洗いとうがいが見直されたこともあり、国内外で注目されている。
楽曲「テアライウガイ」は、2014年初頭に「ティダ」のメンバーが胃腸炎やインフルエンザに相次いでかかったことをきっかけに、ベースの秀哉さん(42)が考案。「感染を防ぐことに効果がある『手洗い』や『うがい』をテーマにした曲を作ろう」との思いからで、16年に100歳で亡くなった祖母の「健康に勝る宝はなし」という口癖も盛り込んで誕生した。
ボーカルの雄志さん(42)の子どもが在学していた縁で、昨年12月には横浜市神奈川区の市立白幡小学校で「健康」をテーマにしたライブを開催。児童約700人の前で、両手をこすりながら「テアライ」、コップでうがいをするようなしぐさで「ウガイ」とシャウトする姿が「かっこいい」と大人気となった。
同校では例年、数人の児童がインフルエンザに感染するが、ことし1月末以降、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として臨時休校になった3月2日までの間のインフルエンザ感染者はゼロに。望月重晴副校長は「子どもが楽しんで手洗いをしてくれたことが良かった」と驚いている。
ことし1月には同市港北区の市立大綱中学校など市内8校で昼食の時間などに曲を放送。「テアライウガイ」というフレーズと、激しいリズムでシャウトするギャップが子どもたちの心をわしづかみ。繰り返すサビは一聴で耳に残る親しみやすさがあり、話題となった。市立篠原中学校の女性教諭は「1週間の期間限定で流したが、曲を聴いた後、生徒同士が廊下で口ずさんだり、『手を洗おうか』と声を掛け合ったりしていた」と反応の速さに驚く。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、手洗いとうがいの重要性が再認識されたこともあり、曲のミュージックビデオは3月に入って以降、国内外からのアクセスが急増。世界の人と曲を共有できるよう歌詞を英語詞にする準備も進めている。
バンド名の「ティダ」は奄美地方の方言で「太陽」の意味を持つ。政府の緊急事態宣言もあり、先が見えない不安が広がるが、音楽で世界を照らしたいと願う。秀哉さんは「ライブができる日が来たら、またみんなで笑いながら歌いたい」と思いを込めた。