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【バスストップ】東急、小田急・柿23系統(8)鉄町 鉄火松の話 紙芝居に
話題 | 神奈川新聞 | 2018年6月18日(月) 16:48
今回のバス停「鉄(くろがね)町」(横浜市青葉区)と、一つ先の「早野」(川崎市麻生(あさお)区)は昔、村の境界を巡(めぐ)り争った、という民話が「鉄火松(てっかまつ)の話」として地域に残る。民話は紙芝居(しばい)になり、「あおば紙芝居一座」が各所で「口演(こうえん)」している。
同一座は設立10周年。青葉の歴史を未来に残そうと、今まで13の話を紙芝居にした。「鉄火松」は初期に作られ、数多く演じられてきた。粗筋(あらすじ)はこうだ。
鉄と早野は村の境界で言い争っていた。決着のため役人は二つの村の代表に熱した鉄の棒を握(にぎ)らせ、長く持った方の言い分を取るとした。結末は、鉄の村人が熱さに耐(た)え切れず、先に手を離して負け。早野側は勝ち取った境界に松を植え、人はこれを「鉄火松」と呼んだ-。
同一座代表の宮原泉さん(57)に、紙芝居を見せてもらった。熱した鉄の棒を握る我慢(がまん)比べの場面で、明暗が分かれる。
松は実在したが終戦後に枯れ、早野の老人クラブが後年「鉄火松跡(あと)」の碑(ひ)を建てた。宮原さんと一座の宮澤(みやざわ)高広さん(58)と共に、碑に足を運んだ。一つ前のバス停の方が近道で、横浜と川崎の市境にある。
民話は地元の負けだが、「最近は鉄村が勝つ筋書きも出てきました」と宮原さん。宮澤さんは「紙芝居は民話通りに作りましたが、鉄が勝つ案も出ました」。結末は今も揺(ゆ)れ動く。
問い合わせはメールで同一座ao.kamishibai@gmail.com
次回から港北区の「綱島駅」を出て高田方面に向かう路線を紹介します。
(小学校高学年向けに、難しい漢字にふりがなを振りました)
【2018年5月31日掲載】