横浜市瀬谷区で外国人に日本語を教える市民団体「国際交流Seya」が25周年を迎えた。「日本を好きになってもらいたい」と主婦ら4人で始めた活動は、今ではボランティアが25人超。仕事に生かしたいと日本語検定を受ける参加者も増えるなど、異国で暮らす人々を支えてきた活動は四半世紀を経て広がりを見せている。
「日本語の読み書きの手ほどきをしたい」。1993年4月、主婦の舩矢多紀子さん(78)、佐藤瑞代さん(79)らが教室を始めた。きっかけは舩矢さんが友人を通じて、ブラジル人女性から学齢期の子どもに日本語を学ばせたいと相談されたことだった。
瀬谷区に隣接する大和市内にはかつて難民定住促進センターがあり、同区内には東南アジア出身者も多かったという。参加者が友人を誘い、日ごとに増えていった。現在、毎週水曜午前中に教室を開催。中国やベトナム、タイなど10カ国30人余りが利用し、中には20年近く通う人もいる。
佐藤さんは「発足当初は日本の生活に慣れることに懸命な外国人が多く、交流イベントを何度も開いた」と振り返る。最近では日本でより良い仕事に就きたいと学ぶ人が増加。通訳や介護士を目指す人もおり、参加者のニーズに応じた指導を心掛ける。
きめ細かい要望に対応するのは主婦や退職した男性らが中心のボランティアで、ほぼマンツーマンで教える。舩矢さんは「交通費も出ないのに毎週通ってくれる」と感謝する。
4年前からは毎月、参加者による5分程度のミニスピーチも取り入れた。自分の思いを気軽に話してもらえるようにするためだ。教室以外にも、2007年から日本の生活になじんでもらえるように地元消防署の協力を得ながら毎年6月に防災講習会を開く。
4月下旬には、子どもの幼稚園入園をきっかけに自身が参加するようになった2児のフィリピン出身の母親が「息子に負けないように頑張ろうと思う。もっとここで勉強して自分の気持ちを伝えられるようになりたい」と宣言し、拍手が湧いた。
「『子どもたちも社会人として活躍し、母親である自分も働いている会社で会計を任されるようになった。信頼されていると思い、生き生きと仕事をしています』といった報告も受けるようになった」。舩矢さんはそんな報告を受けるようになったと喜び、「これからも知恵を出し合い、外国人支援の一翼を担いたい」と話している。