子どもたちに「木育」を-。川崎市麻生区の市民団体「おもちゃと遊びの会」(吉田幸雄代表)が木製玩具を活用した教育活動に力を入れている。木のぬくもりや肌触りを通して、子どもたちに情感豊かな心や自然への愛着を養ってもらおうと活動。高価な木製玩具を再生して、子どもたちに利活用してもらう試みにも注力している。
同会は2014年に、プリント基板の設計を手掛ける吉田代表(65)と妻静香さん(48)=同区在住=が発足させた。
子どもの頃から工作好きだった吉田代表。8年ほど前に仲間と開いた展示会で自作の木製玩具などを出品したのを機に、子どもたちにその良さを知ってもらおうと、同区を拠点に活動を始めた。
現在の会員は子ども2人を含む15人。うち9人が、木育推進を提唱する東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)認定の「おもちゃコンサルタント」の資格を持つ。最近は相模原市でイベントを開催するなど、活動エリアも広げている。
同会が力点を置くのは木育を通じて「心を育てる」こと。単に樹木の知識を学ぶのではなく、親子で木製玩具作りを楽しみ、一緒に遊ぶことで「木の種類で温度や肌触り、においが違うことを体感してもらいたい」(吉田代表)。そこから、豊かな自然の中で育まれる命の大切さや助け合い、感謝の気持ちを学んでほしいと願う。
活動の中で、人気の遊びが金魚すくいならぬ「木魚すくい」。魚や亀などをかたどった木の板を水に浮かべ、持ち手のついた木の輪ですくい取る。“木魚”は持ち帰って、親子で自由に色を塗るなどして楽しめる。イベント参加者からは「また参加したい」「家でも作りたい」などと好評だ。かわさき市民活動センターの小倉敬子理事長は「玩具の素材には川崎市内の間伐材も使える」と、同会の木育活動が地域資源の循環にもつながるのでは、と期待を寄せる。
一方で課題はイベントなどで活用を見込む既成の木製玩具の値段が高いこと。木材は樹脂に比べて割高で、加工にも多くの費用や労力が必要なため、高額になる。
そこで吉田代表が着目したのが、家庭で眠っている木製玩具の活用。子どもの成長に伴って使わなくなった玩具を引き取り、消毒・修理して有効活用する発想だ。吉田代表は「不要の木製玩具があれば、子どもたちの木育のために提供を」と呼び掛ける。
今後は6月23日と7月22日に麻生市民交流館やまゆり(麻生区)で木育イベントを開催予定。問い合わせは同会電話044(986)3771。