県内唯一の相撲部屋、春日山部屋(川崎市川崎区池上新町)の春日山親方(39)に日本相撲協会が辞任を勧告した問題を受け、地元で部屋の存続を求める動きが広がっている。福田紀彦市長が17日に要望書を同協会に提出したほか、部屋の後援会や地元経済界、市議会有志らが勧告決議の撤回を求める嘆願書を出した。
勧告を巡っては、同部屋の親方や力士23人が他の部屋に移籍する可能性が高くなっており、存続が危ぶまれている。協会への回答期限である19日までに親方がどう対応するのか注目が集まっている。
福田市長は17日の定例会見で「春日山部屋はさまざまな機会で地域貢献をしてもらっている。川崎に部屋がある意義は大きいということを伝えるため、本日は要望書を提出することにした」と明かした。
要望書は「部屋は地域との交流、相撲道を通じた青少年の育成に親方、力士一丸となって取り組んでいる」とし「本市の財産であり、市民の期待や青少年の夢を担っている部屋存続について格段の配慮を要望する」と訴えている。
一方、後援会を中心にまとめた嘆願書は17団体2798人の署名を添え、関進・後援会長と菊地義雄副市長、川崎商工会議所の加治秀基副会頭、川崎大師平間寺の藤田隆乗貫首が同日夕、協会に持参した。
嘆願書は「春日山親方は弟子の指導育成に大変熱心で、地域への貢献も多大。人柄も品行方正そのもので師匠として適格である」とし、相撲協会に辞任勧告の撤回を要請。関係者によると、協会側は鏡山親方と尾車親方らが対応し「地元に愛されている良い部屋ですね」などと、地元の意向を理事会に伝える考えを示したという。
関会長は「春日山部屋は川崎で相撲文化を根付かせてきた。後援会も338人と増え、盛り上がってきた中での処分は理不尽。覆らないかもしれないが、何とか残せるようにしたい」と切望していた。