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鉄道コラム 前照灯(286)
カリフォルニア・ゼファーに乗る(上) シエラネバダへ

話題 | 神奈川新聞 | 2018年4月17日(火) 12:00

エメリービル駅で出発を待つ先頭の機関車。カリフォルニア・ゼファーは「カリフォルニアからの西風」といった意味。堂々たる外観の列車にしては優しい名前だ
エメリービル駅で出発を待つ先頭の機関車。カリフォルニア・ゼファーは「カリフォルニアからの西風」といった意味。堂々たる外観の列車にしては優しい名前だ

 まず驚いたのは始発ターミナルの閑散といっていい雰囲気。ビル街に隠れるようにエメリービル駅はあった。サンフランシスコの対岸、小さな駅舎である。米大陸横断のシカゴ行き「カリフォルニア・ゼファー」に乗る、その興奮の舞台らしくない。専用バスで乗客が運ばれてくるが、日本のような駅前の華やぎもない。


終点シカゴまでは3924キロ、2泊3日53時間。その旅を過ごす個室寝台は狭い。昼間は向かい合わせの座席だが、これが夜は上下2段ベッドにセットされる
終点シカゴまでは3924キロ、2泊3日53時間。その旅を過ごす個室寝台は狭い。昼間は向かい合わせの座席だが、これが夜は上下2段ベッドにセットされる

 機関車が重連で引く列車は荷物車も含め8両編成。客車は見上げるばかりの2階建て構造だが、個室寝台は狭い。ことに2人用の上段。体の大きなアメリカ人がどう身を収めるのかと思うほど。世話係のアテンダントが各車両にいる。チップは最低5ドルと聞いた。どのタイミングで渡すべきか。

 9時10分発。何の合図もなく動きだした。私は途中のデンバーまで行く。それでも所要33時間。車窓が楽しみなので展望車に陣取る。残雪のシェラネバダ山脈。やがては砂漠のような茫漠の世界。予期せぬ風景が急に現れるから油断できない。


コルファックスからシェラネバダ山脈にかかる。雪の峰や谷が車窓を圧する。木立の切れ間から急に眺望が開けたりするので、終日展望車にいても全く退屈しない
コルファックスからシェラネバダ山脈にかかる。雪の峰や谷が車窓を圧する。木立の切れ間から急に眺望が開けたりするので、終日展望車にいても全く退屈しない

 世話係は映画「天使にラブ・ソングを…」のウーピー・ゴールドバーグそっくり。同室の連れ合いと2人、きりのいい紙幣がないので1ドル10枚を寄せ集めた。寝台セットの前に、その束を彼女に渡したら「オウ」と肩をすくめて笑った。よれよれの1ドルながら10枚重ねると大金に見えなくもない。

 食堂車では相席。ウエイトレスの対応も料理も上等だが、ステーキは食べきれない。向かい合わせの席には隠居ふうの老女。「私は汽車が好きなの」と言った。ここぞとばかりミー・ツーと答える。(F)


積雪の峠をいく列車。展望車は後ろの方にあるのでカーブにかかると列車の前方が目に入る。それでも窓ガラスに車内の映像が反射しがちなので写真は撮りづらい
積雪の峠をいく列車。展望車は後ろの方にあるのでカーブにかかると列車の前方が目に入る。それでも窓ガラスに車内の映像が反射しがちなので写真は撮りづらい

トラッキー近くにあるドナー湖を見下ろす。現在はリゾート地だが、西部開拓時代のその昔、開拓団の一行が山脈越えに難儀した、極限の悲劇が語り継がれている
トラッキー近くにあるドナー湖を見下ろす。現在はリゾート地だが、西部開拓時代のその昔、開拓団の一行が山脈越えに難儀した、極限の悲劇が語り継がれている

カリファルニア州からネバダ州に。シェラネバダ山脈を越え、リノを過ぎたあたりからは乾いた風景に一変。茶色いデコボコな小山や、うねうねした起伏が連なる
カリファルニア州からネバダ州に。シェラネバダ山脈を越え、リノを過ぎたあたりからは乾いた風景に一変。茶色いデコボコな小山や、うねうねした起伏が連なる

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