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東北に笑い届け7年 川崎の「腹話術の会きずな」

話題 | 神奈川新聞 | 2018年4月9日(月) 15:29

腹話術の会きずな代表のしろたにまもるさん(後列中央)と会員ら=川崎市幸区古市場
腹話術の会きずな代表のしろたにまもるさん(後列中央)と会員ら=川崎市幸区古市場

 川崎市内を拠点とする「腹話術の会きずな」が10、11の両日、2011年の東京電力福島第1原発事故で被災した福島市内の高齢者施設、保育園などでボランティア公演を行う。きずなの会員7人が「笑いを届け、楽しい時間を一緒に過ごしたい」との思いで、7体の相棒とともに福島市内を巡る。

 「福島のおいしい食べ物をせりふに入れよう」「励ましの言葉は人が言うと通り一遍に聞こえるので、人形に言わせて」。5日、川崎市幸区古市場の稽古場で仕上げの練習が行われた。プロの腹話術師・しろたにまもるさん(77)=幸区=が会員らに次々とアドバイスを飛ばした。

 きずなは、カルチャーセンターなどでしろたにさんから腹話術を学んだ愛好家らで12年前に設立。関東を中心に会員180人を抱えるサークルだ。

 会員がそれぞれ高齢者施設などに慰問し、年間の上演回数は合計約千回に達する。県外の被災地公演も積極的に行ってきた。

 東日本大震災では発災1カ月後に、宮城県石巻市、女川町、福島県などの避難所を回った。しろたにさんは「大変な時期だったから、体育館の片隅で上演して6~7人しか近くに見に来なかった。でも終えると、大勢の人が体育館で立ち上がって拍手してくれてね」と振り返る。

 以来、東北3県(岩手、宮城、福島)には22回訪問し、92カ所で上演した。今回は現地ボランティアの案内で老人ホームや保育園、学童クラブなどを回り、上演数は100カ所目に達する見通しだ。

 会員の草野みつ子さん(70)=川崎市川崎区=は相棒「ひめちゃん」を連れて行く。原発事故直後に一時避難所となったとどろきアリーナ(中原区)で会った福島県の小学生が名付けてくれた人形で、「福島に行くたびにあの子を思い浮かべる。毎回、ボランティアに行っているつもりが、福島の方々から元気をもらって帰ってくる感じです」と説明する。

 西野昭伸さん(76)=川崎市中原区=は「人形は人を笑顔にさせる不思議な魅力がある。人間対人間の警戒感がなく、人が言うよりも喜ばれたりする」。工藤美代子さん(64)=横浜市保土ケ谷区=は「とにかく腹話術の福と笑いを届けたい。良い顔をたくさん見せていただければ」と意気込んでいる。

 
 

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