伊勢原市内の農業生産法人株式会社「ファームいせはら」が全国ブランドの「丹波の黒豆」を仕入れ、黒枝豆を栽培し6年目を迎えた。加工品の開発を目指すだけではなく、輸出のための冷凍技術確立にも取り組む。同社は「伊勢原の特産品として、黒枝豆をアメリカに輸出したい」と意気込んでいる。
丹波の黒豆は兵庫県、京都府の丹波地方を中心に栽培されてきた品種で、糖度が高く、粒が大きいのが特徴。同社は荒廃農地を使って自(じ)然(ねん)薯(じょ)を生産してきたが、連作障害を防ごうと、6年前から黒豆を植え始めた。
現在は同社だけで2ヘクタールに作付けし、年間10トンを収穫。同社から黒豆を仕入れるなどし、同社研修生出身の農家も栽培している。
「ビールのおともに」してもらおうと「ともちゃん」と名付け、県内の大手スーパー、市内の農協直売所などに卸している。店頭では200グラム400円ほどだが、流通量が少ないこともあり、すぐに売り切れる人気という。一部の黒豆は、きな粉に加工し、お菓子やジェラートの材料として販売している。
また、3年前からは「自然薯畑よりも、安定して収穫でき、生産性も高い」と休耕田に目を付け、試験的に栽培している。同社の仲西栄治社長(64)は「コメ農家の跡継ぎ問題も深刻で、耕作放棄される水田も多く出る。水田を借りて、黒枝豆を栽培し、生産を倍増させたい」と話す。
今年は11日に収穫を始め、今月末まで出荷する。一方で、販路拡大のため、輸出も計画。枝豆の人気が高い米国向けも視野に、試験的に300キロを冷凍する。
仲西社長は「枝豆だけでなく、大山向けに黒豆で作った豆腐も試作している。生産農家を増やし、神奈川を代表するブランドに育てたい」と話している。