他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 話題
  4. 横浜市中央卸売市場の分場解体へ 見学会で専門家「貴重な建造物」 

横浜市中央卸売市場の分場解体へ 見学会で専門家「貴重な建造物」 

話題 | 神奈川新聞 | 2018年3月28日(水) 12:34

横浜市中央卸売市場分場として関東大震災からの復興に貢献した建造物の内部 =横浜市中区寿町
横浜市中央卸売市場分場として関東大震災からの復興に貢献した建造物の内部 =横浜市中区寿町

 横浜市民の食を支えた市中央卸売市場の分場として関東大震災(1923年)からの復興に貢献した昭和初期の建造物が、建て替えにより取り壊されることになった。27日には建築の専門家らが見学会を開催。90年近く築年数が経過してもリノベーション(改修・増築)して使い続けられ、貴重だとの声が上がった。

 取り壊されるのは、同市中区寿町4丁目の鉄筋コンクリート造平屋建ての建造物1棟。震災から立ち直っていく中、東日本で初めて開場した市中央卸売市場の青果部の分場として31年に完成し、主に果物を扱う施設として利用された。野菜を扱う施設は道路を挟んだ向かいに位置し、現在は寿町総合労働福祉会館の建て替え地となっている。

 市場の建物であったため天井が高く、水平の梁(はり)の端部にハンチと呼ばれる斜めの部分を設ける構造を採用することで、広い空間を確保した。

 45年の横浜大空襲では焼失を逃れたものの、終戦直後に連合国軍総司令部(GHQ)が接収。接収解除後は職業安定所の施設として使われたとみられる。

 68年からは、社会福祉法人「神奈川県匡済会」(同区)が運営する「寿福祉センター」として使われるようになった。保育所のほか、当初は診療所などもあり地域医療の役割も担っていた。

 保育所になってからは使い勝手を向上させるため、二階を設けるなど改築を重ねてきたが、老朽化が進んだために建て替えることになり、今月から解体工事がスタート。建て替え後も保育所として利用される。

 横浜の震災復興建築に詳しい建築家の笠井三義さんは「現存する震災復興建物は数少ない中、リノベーションをしながら残されてきたことが貴重だった。鉄筋コンクリートの寿命は長く、最初の用途とは違う形で使われていくと、歴史的建造物が後世につながっていくことの好例ではないか」と評した。

 見学会は、新たな建物を設計する奥野設計(同区)と施工する白井組(同区)が協力した。

 
 

老朽公共施設に関するその他のニュース

話題に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング