時間内に拾ったごみの種類や量をチームで競う大会「スポGOMI」が、葉山町の森戸海岸で人気だ。葉山在住の馬見塚(まみつか)健一さん(52)が考案した大会が国内外で浸透し、同海岸で老舗飲食店店主の高木康之(こうじ)さん(52)と協力して開く大会の参加者も年々増加。大会中にビーチで拾われた「ごみ」を再利用した“メダル”を次の大会で優勝者に渡すなど、地元の海の状況を伝える工夫も凝らす2人は「環境を大切にする意識や、人のつながりを広げたい」と夢見ている。

「スポGOMI」は、決められたエリアで60分間ごみを拾い、100グラム当たり燃えるごみは10ポイント、たばこの吸い殻は100ポイントなど設定された得点を競う。量で勝敗が決まらず、年代問わず参加できるのが特徴だ。
2008年に馬見塚さんが東京・渋谷で始めた大会は全国各地に広がり、ロシアやミャンマーなど海外にも普及。東京五輪パラリンピック組織委員会とコラボレーションするなど大会開催数は850回以上という。
馬見塚さんは横浜に住んでいた07年に、毎朝のランニングで観光スポットを走りながらごみの多さが気になり、自ら拾うようになった。「10メートル先にある弁当箱までスピードを落とさずに走って拾おう」などとルールを決めると楽しくなり、「ごみ拾いを競技にすれば、環境に興味のない人も参加してもらえるのでは」と考えたという。

大会を開くと参加者から「普段ごみを拾わないが、スポーツだから面白い」との声が届き、手応えを実感。10年に一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブを設立し、代表理事として大会運営や競技普及を手掛けてきた。
馬見塚さんは4年前に葉山へ移住し、森戸海岸前で110年続く「菊水亭」4代目店主で葉山元町商店会会長の高木さんと知り合った。「地域の交流を深めたい」と考えていた高木さんとすぐに意気投合した。
高木さんが各団体に呼び掛け16年に商店会主催で始まった大会は、大人から子どもまで参加者が広がり、馬見塚さんは「みんなで好きな海をきれいにしようとする姿に感動して」と閉会式で感極まったことも。優勝チームには前回大会で拾った陶器片をペンダントにアレンジして“優勝メダル”として贈呈。唯一無二の品は子どもたちの人気も高く、「地元の海を知り、足を運ぶきっかけになれば」と高木さんは言う。2人は「スポGOMIを通じて住民が交流し、地域に愛着を抱くきっかけにもなれば」と声をそろえた。