多摩川の豊かな自然と暮らせることに感謝するとともに水害を払い鎮める「多摩川水神祭」が25日、川崎市中原区上丸子の多摩川河川敷で行われた。流域に甚大な被害をもたらした昨年の台風19号を教訓に、地元町内会の関係者らが安全を祈願。有志の男性9人が川に入って冷水をかぶるみそぎを行うと、来場者から歓声が上がった。
多摩川で子どもたちに環境学習などを行う「多摩川クラブ中原」(内藤隆代表)の主催で、今年で10回目。
9町会でつくる丸子地区連合町内会の細野芳之助会長や各町会長、永山実幸中原区長らが出席。来賓として出席した田中和徳復興相(衆院10区)は「台風19号では市内でも水害が起き、対策が十分でなかった点をおわびする。復興大臣として関係機関と協議し、課題を整理していきたい」とあいさつした。
例年、祝詞で環境学習する子どもたちの安全を祈願する丸子山王日枝神社の山本雅道宮司は、今年は台風19号にも触れ、母なる川の穏やかな流れを祈った。
みそぎでは、ふんどし姿の男性9人が一斉に川に入り、消防の散水ホースから放たれる水と自らのおけですくった水を浴びた。威勢よく「どっこいせー」の掛け声を上げる姿に来場者から歓声と拍手が上がった。
みそぎを終えた内藤代表は「今年は台風の影響か、川底に泥が多く、足元をとられた。水が冷たく、痛かった」と、体を震わせつつ満足げな表情を見せた。
台風の影響で全体の半数近い568件が罹災(りさい)証明を受け、うち518件が床上浸水に見舞われた上丸子山王町2丁目の山川哲生町会長は「水害の爪痕はまだ残っている。今年は鎮まってもらいたい」と話した。