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震災の傷、バイオリンで癒やす 18日に横浜で単独公演

話題 | 神奈川新聞 | 2020年1月5日(日) 05:00

 東日本大震災で傷ついた心を音楽で和らげる活動を相模原市のバイオリン奏者で作曲家、高嶋英輔さん(42)が続けている。「人は生きているだけで美しい」。震災直後、楽曲「人は花」を手がけ、思いを込めた。東北の被災地の祭り会場、横浜、川崎市内の駅前や商店街で500回を超える演奏を重ねた。高嶋さんは「痛んだ心を和らげるのは楽器を手にした自分の役割」と話す。


東日本大震災の心の傷を和らげる演奏活動を続けるバイオリン奏者の高嶋英輔さん=横浜市緑区のみどりアートパーク
東日本大震災の心の傷を和らげる演奏活動を続けるバイオリン奏者の高嶋英輔さん=横浜市緑区のみどりアートパーク

 2011年3月11日の津波はテレビと新聞の報道で見た。「人生で一番ショックを受けた光景」と振り返る。計画停電でライブが中止になり、自宅で作曲に専念した。津波で親類や知人を亡くした周囲の音楽家の悲しみも「人は花」に凝縮させた。

 作品は震災1年後の12年3月、宮城県気仙沼市の鎮魂音楽祭で初めて演奏した。それから約8年。年間約150回開催するライブの半分で作曲のエピソードを語り「和らぎ」を届ける。

 津波と東京電力福島第1原発事故の被害を受けた福島県南相馬市での演奏は、5年間で10回を数えた。動画投稿サイトで高嶋さんの演奏映像を見た地域の祭りのまとめ役から、「熱い演奏を生で見たい」と頼まれた。地域の小さな祭りの野外ステージ。15年春から年2回立ち続ける。

 ストリートミュージシャンとして活動を始めた高嶋さん。バンド「style─3!」でデビューし、15年がすぎた。飛びはね、ブリッジも披露する躍動感ある演奏で若いファンが多い。野外で「人は花」を演奏しているとき、道行く人がふと足を止め涙を流す姿を見て、共感していることが分かった。音楽家の役割に気づかされたという。最近は中高年から「介護のつらさから救われた」と声をかけられることも多い。

 震災9年の節目となる20年3月を前に、世界の演奏家が「TSUNAMIバイオリン」を弾き継ぐ企画に参加した。岩手県陸前高田市を襲った津波の流木で制作したバイオリンやビオラなどを12年3月から19年12月まで、日本、フランス、米国、中国など15カ国の演奏家724人が演奏。高嶋さんは自身の新アルバム「Biotope」(全12曲)のうち2曲でこのバイオリンを使った。

 震災の記憶の風化を防ぎたいと思う高嶋さんは今月18日、横浜市緑区のみどりアートパーク(緑区民文化センター)でソロライブを開く。問い合わせは、同パーク電話045(986)2441。

 
 

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