
綾瀬市で唯一、オリーブを栽培している山田誠一さん(67)=同市落合南7丁目=が、オリーブオイルの自主生産を始めた。これまでは業者に委託していたが、市の補助金を活用して加工所を設け、搾油機を導入。果実の収穫から搾油までの時間を短縮するとオイルの品質が向上するとされ、初めて自ら搾ったオイルは既に完売した。山田さんは「応援してくれる方々の期待に応え、綾瀬の新たな特産品に育てたい」と意気込んでいる。
山田さんは7年前、バス運転手を定年退職したのを機に、オリーブの栽培を始めた。国内で生産が盛んな香川県小豆島から苗木を取り寄せ、自宅周辺に約7千平方メートルの農園を開設して育てている。
果実の収穫量も増え、2年ほど前からは、オイルの生産も試験実施。市外の業者に委託し、地元産をアピールするため「綾(あや)」と命名した商品を限定販売。2019年4月には、日本オリーブオイルソムリエ協会などが主催する国際コンテストに出品したオイルが銀賞を獲得した。

本格販売に向けて、山田さんは加工所を整備することを決断。地域農業の活性化と市の知名度向上を目的に、補助率2分の1、100万円を上限に、市が本年度に創設した「6次産業化推進事業補助制度」を活用。自宅敷地内に昨年9月、広さ36平方メートルの加工所が完成した。
早速、10月下旬から11月上旬にボランティアとともに摘み取った果実約350キロを搾油機に投入し、約11キロのオイルを初生産。瓶詰めの商品は口コミで話題になり、11月下旬から販売した2種類185本はすぐに完売したという。
山田さんは「うまく搾れるか不安もあったが、『まろやかな味』など評判は悪くないようだ」と安堵(あんど)する一方、「台風被害もあって収穫量が伸びず、購入できない人が相次いでしまった」と恐縮。「自前の加工所を持て、本格販売に向けてスタートラインに立てた心境。今後、作付面積を拡大して生産量も増やしたい。長い目で応援してほしい」と話している。