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「幻の代表」、聖火ランナーに 子どものため平和願い走る

話題 | 神奈川新聞 | 2020年1月1日(水) 11:53

東京五輪で聖火ランナーを務める津田さん=相模原市南区の新磯小学校
東京五輪で聖火ランナーを務める津田さん=相模原市南区の新磯小学校

 聖火ランナーに選ばれた相模原市立新磯小学校教諭の津田桂(かつら)さん(54)=同市南区=は、東西冷戦下に日本がボイコットした1980年モスクワ五輪の「幻の代表」の一人だ。二度とスポーツが政治に屈しないよう、子どもたちが同じ悔しさを味わわないよう、平和を願い、走るつもりだ。

 小学2年から体操を始め、全国中学生大会で優勝。その翌年、高校1年でモスクワ五輪代表に決まった。

 だが、東西冷戦が津田さんの夢を砕く。ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する米政権がボイコットを主導し、日本政府の強い意向を受けた日本オリンピック委員会が不参加を決めた。

 高校卒業を機に、競技から離れた。テレビ中継でさえ、見たくなかった。「自分の身に覚えがないことで五輪の切符を失い、悔しくて五輪を遠ざけたかった」

 心の傷を癒やしてくれたのは、子どもと体操だった。地域の体操クラブなどで児童や障害児を指導。子育てが一段落した30代に、教員免許を取得した。勉強も遊びも体操も、一生懸命に楽しむ子どもたち。「一生懸命取り組んだことは、目指した結果にならなくても、人生を支えるものになる」。そう思えるようになった。

 2013年9月、夏季五輪の開催都市に東京が選ばれた。「五輪に対する嫌なイメージを払拭(ふっしょく)したい」と初めて思った。そこから関連イベントで世界平和を訴えるように。「苦しい思いをした自分にしかできないことがあるのではないか」との思いが突き動かした。

 忘れられない光景がある。高校3年で出場したアジア大会。競技を終えた韓国代表と北朝鮮代表の選手が涙を流しながら抱き合い、互いをたたえ合っていた。

 だからこそ、津田さんは心に決めている。「スポーツに国境はない。代表選手が幻と呼ばれることが二度とないことを願い、未来を担う子どもたちのために走りたい」

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