茅ケ崎市下寺尾の国指定史跡「下寺尾官衙(かんが)遺跡群」の歴史をひもとくきっかけとなった七堂伽藍跡(しちどうがらんあと)碑の建碑60周年を祝う式典が16日、同所で開かれた。建立に携わった家族らも参加し、当時の活動に思いをはせた。
高さ約3メートルの碑は、近くに大寺院があったと考えた地元住民や郷土歴史家ら142人が中心となり1957年に建立。発起人会の趣意書には「偉大な遺産を後世に伝えることが吾等に課せられた急務」とある。
78年に考古学者の調査で古代寺院跡と判明。その後、相模国高座郡衙(たかぐらぐんが)や船着き場、祭祀(さいし)場などが発見され、同所が地方行政の中心地だったことが明らかになった。七堂伽藍跡を含む下寺尾官衙遺跡群は2015年、国史跡に指定された。
式典で服部信明茅ケ崎市長は「碑が大切な歴史的価値を多くの人に伝えるスタートとなった」と話し、記念事業実行委員会の会長(77)は「後世に伝えていくことが私たちの役割だ」と強調。建碑当時の除幕式にも参加した人(82)は「昔は農道で何もない土地だった。地元の方が草取りなど手入れをしたことで、いまの碑がある」と感慨深げに語った。