2020年の東京パラリンピックの正式種目となっているブラインドサッカー日本代表の寺西一選手(29)による講演会がこのほど、川崎市川崎区の市立川崎中学校で開かれ、全校生徒約420人がパラスポーツの魅力に触れた。寺西選手がドリブルやシュートなどを実演し、生徒たちも競技を体験した。
ブラインドサッカーは、視覚障害者らが転がると音の出るボールを使ってプレーする5人制のスポーツ。サッカー未経験だった寺西選手は、中学時代に初めて競技に触れ「外を歩くときは周囲に気を配らないといけないが、コートでは自由に走り回れる。これは面白い」とのめり込んだという。
試合では敵陣のゴール裏に目の見えるガイドがおり、絶えず選手に指示を送っている。寺西選手は「障害の有無に関係なく、喜んだり怒ったりして感情をぶつけ合えるのも魅力の一つ」と話し、「パラリンピックに向け、ぜひ皆さんも何らかの形で競技に携わってほしい」と呼び掛けた。
また、サッカー部員がアイマスクをしてパス出しやPK対決で競技を体験。ボールが曲がったり、行方が分からなくなったりして競技の難しさを実感した。一方、寺西選手は体からボールを離さずに華麗なドリブルを披露したほか、シュートも決め、生徒から大きな拍手と歓声が上がった。
体験した同部部長の2年生、吉原英雄さん(13)は「自分はボールがどこにあるのかも全然分からなかったのに、寺西選手はボールが足に吸い付いているみたいですごかった。試合も見に行きたい」と話した。
寺西選手はこの日、同区の市立京町中学校でも講演会を行った。