
豊かな自然が残る平塚海岸の風景をテーマにした写真展「ひらつかのうみとわたしたち」が18日、JR平塚駅北口の元麻布ギャラリー平塚(同市明石町)で始まった。ライフワークとして平塚の海を撮り続けるプロとアマチュアの写真愛好家らが集結。「消えてしまうかもしれない今の美しい平塚の海の風景を写真として残したい」と、市が海岸一帯で進める開発計画に一石を投じる。
写真展は平塚海岸で草刈りや清掃活動を続ける「ひらつかの海を考える会」の主催。20~70代の写真家11人による約50点を展示している。フィルムカメラや自作のピンホールカメラを使った個性的な作品も並ぶ。
荒々しく波立つ海と奥に見える海岸の樹林帯と富士山─。同会共同代表で写真家の鈴木雄介さんは、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」を思わせる写真を撮影した。サーファー向け専門誌にカメラマンとして携わった経験を生かし、海を泳ぎながら水中カメラのシャッターを切った。
「湘南の原風景が残るのは平塚だけ。自然が多く残り、のどかさと静けさが平塚の海の魅力」と鈴木さん。藤沢や茅ケ崎の海岸からも富士山は見えるが、高層マンションが視界に入る。大磯や二宮では西湘バイパスによって海岸線の風景が寸断される。
ただ、平塚でも龍城ケ丘プール跡地周辺の海岸で市の公園整備計画が進む。集客施設や駐車場が整備され、約2ヘクタールの樹林帯の一部が伐採される可能性がある。鈴木さんは「人の手で景色が変えられようとしている。平塚の海の美しさを多くの人に知ってもらいたい」と願う。
23日までで、入場無料。午前11時から午後6時まで。問い合わせは、同ギャラリー電話0463(22)7625。